おまけ 〜夜の夏祭り6〜 ページ32
「そそそ、そうなんだ、でもいいの?あの人達」
周りの!目が!主に女の目がこちらに!
…この平安の女達を全員敵に回した、そんな気分
私の命、きっと20年も持たないわ
大天狗はフッと笑った
「そなたが悲しそうな顔をしていたからな。戻って来るのを待てず、つい迎えにきてしまった」
「ふぇっ!?」
な、何そのカレカノみたいな発言!!!恋人みたいじゃない!
不意な発言を聞かされ顔がタコのように赤くなるのを感じた
「あっあの…ごめんなさい」
「気にすることはない。…Aは2つも甘味を買ったのか、食いしん坊なのだな」
「ちっ違うよ!」
私は右手に持っていたりんご飴を大天狗の前に差し出す
「…一緒に鬼探ししてくれてるお礼」
一応感謝の気持ちはある
「ふっそうか、有り難くいただこう」
大天狗は受け取ると、りんご飴をじっと見つめたと思いきや、私の顔と見比べ始めた
「そなた、リンゴのように頰が赤いぞ」
「んなっ…そういうこと言わなくていいの!」
私は自分のりんご飴を食んだ
「そう不貞腐れるな、ほんの冗談よ」
扇子で口元を隠し笑いを隠しきれていない大天狗が、最高にムカつく男に見えた
「いいもん!ほら、探しに行こ!」
私は歩き始める
大天狗もそれに釣られたかのように歩き始めた
「んっこのりんご飴美味しい…」
少しかじった途端、口の中にりんごの独特な甘味が広がる
水飴との絶妙な甘さが程よくりんごの味を殺さず、均衡を保っていた
…そういや小さい頃、お祭りによく来てはりんご飴食べてたな
昔懐かしい記憶を思い出し、思わず口元が緩んだ
こうして、父と2人で並んでお祭りを楽しんだなあ
横に並んで歩いている大天狗を見つめた
そしたら、大天狗もこちらに顔を向き、視線が絡んだ
「俺の顔に何かついているか?」
「う、ううん!小さい頃の記憶を思い出していただけだよ!」
慌てて視線をそらす
「A…」
大天狗は少し弱々しく、私の名前を口にした
「今、楽しいか?」
…何言ってるの、このバカ天狗は
「楽しいに、決まってるじゃない」
茨木童子には悪いけど、私は心からこのお祭りを楽しんでいた
放置されてしまったけど、出店を回れたり懐かしい記憶に浸ったり…
きっと今、私は自然なとびっきりの笑顔だろう
そんな私の表情を見て、大天狗も先ほどの意地悪な笑いではなく
祭りの光に浴びせられた、自然な笑顔を私に見せた
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はぐはまさ - 麻乃さん» そう言って頂けて嬉しいです!ありがとうございます、頑張ります(*´∀`*) (2017年10月9日 18時) (レス) id: 1a4672ac58 (このIDを非表示/違反報告)
麻乃(プロフ) - はぐはまささん» はぐはまささんの書かれる茨木童子かっこいいです、もっと読みたいです(*´-`*) これからも応援してますヘ(*`∀´*)ノ (2017年10月9日 17時) (レス) id: 66c6973d83 (このIDを非表示/違反報告)
はぐはまさ - 麻乃さん» ありがとうございます!!!( ´ ▽ ` ) (2017年10月9日 17時) (レス) id: 1a4672ac58 (このIDを非表示/違反報告)
麻乃(プロフ) - 更新お疲れ様です!(o´艸`) (2017年10月9日 13時) (レス) id: 66c6973d83 (このIDを非表示/違反報告)
はぐはまさ - 召使い丁さん» いえいえ!逆に確率アップじゃない時に出るなんて、凄いですね(°_°) ありがとうございます!! (2017年9月12日 8時) (レス) id: 1a4672ac58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はぐはまさ | 作成日時:2017年4月30日 19時