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『ただいまぁ』
「おかえり〜」
「ほら、A帰ってきたで。」
もそもそとブランケットから顔を出したなるせさんの目元は少し赤くなっていた。驚いてコンビニの袋を投げ出し駆け寄ると、なるせさんは再びブランケットに潜ってしまった。状況が読めず、ありさかさんとだるまさんを見るも、困ったような表情を見せるだけで何も言ってくれない。
『なるせさんどうしたの?具合悪い?』
「…ちがう、」
『どうしたの?』
「……………た、」
『え?』
「帰ってこないかと思った、」
ブランケットに潜ったままのなるせさんが、涙声で言う。
そっと手を置くと、おずおずとブランケットから顔を出したなるせさんと目が合う。今にもこぼれおちそうな涙が、大きな瞳に膜をはっている。
『え?どうして?』
「…遅かったんだもん。」
『ごめんね、途中で同僚と出会っちゃって…急いで帰ってきたつもりだったんだけど心配かけちゃったよね』
「なるせな、心配して鳥居のとこでずっとまってたんよ。もしかしたらAさんが帰ってこーへんかもって」
「…あんな話ししたあとだったから、俺らのこと怖くなって帰っちゃったのかなって、」
『黙って帰ったりしないよ。』
「…そう、だよね。ごめん」
不安になっちゃって、と俯くなるせさんの頭をそっと撫でる。投げ捨てたコンビニの袋を手繰り寄せ、自分用のおにぎりとプリンを取り出す。彼らと初めて出会った日を思い出し、なるせさんの前にプリンとスプーンをそっと置いた。
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yura(プロフ) - くくくさん» 最後までお読み頂きありがとうございました…!別作品も楽しんで頂けましたら幸いです! (3月4日 21時) (レス) id: 5f689998c0 (このIDを非表示/違反報告)
くくく - 泣いちゃいました…次回作楽しみにしてます (2月29日 15時) (レス) id: 9c08b4fe18 (このIDを非表示/違反報告)
yura(プロフ) - をわさん» 最後までお付き合い頂きありがとうございました!次回作もよろしくお願いいたします…! (10月6日 14時) (レス) id: 5f689998c0 (このIDを非表示/違反報告)
をわ(プロフ) - お疲れ様でした!!リアルタイムでこの作品を追いかけることができて幸せでした!次作も楽しみにしております…!! (10月5日 1時) (レス) @page50 id: ab4027dd5b (このIDを非表示/違反報告)
yura(プロフ) - をわさん» そう言っていただけて嬉しいです…!完結までお付き合い頂けると嬉しいです◎ (8月23日 22時) (レス) id: 5f689998c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:yura | 作成日時:2023年6月4日 13時