White Dream Story

わんぱく少年の末路（向井/目黒） ページ44

《目黒side》


番組収録の束の間の休憩時間。
今日は康二と2人で出させてもらってる番組の収録日。
康二は飯食った後、仲のいい芸人さんが同じ局でお仕事されてたみたいで、挨拶に行っている。
俺はというと、楽屋で1人で過ごすのも暇だし、ちょっと局内を探検中。


ある空きスタジオが目に入り、中に入ると、セットも何もない広い空間が広がっていて、数台のカメラだけが端に置いてあった。


蓮「ぅわぁ‥こんなに広いんだ‥‥」


セットを組まれてる状態でいつも現場入りするから、いつもと違う雰囲気と広さにちょっと感動。
声もいつもより響くし、天井もあんなに高い。
ワクワク感が高まり、スタジオ内を隈なく散策。


蓮「あっ、これって‥‥」


角のほうにサッカーボールを見つける。
片付け忘れなのかな？


蓮「ちょっとだけなら‥‥」


と、そのボールを手に取る。
久々の感触に、心が躍る。
そして俺はボールを蹴り上げた。


そうそう！この感じっ！
無音の中で、無我夢中でリフティングしていると、時間を忘れてしまう。


〜♪〜♪


自分でかけていたことを忘れていたアラームが、大音量でスタジオ中に響き渡り、俺はびっくりして思わずボールを蹴り損なってしまった。


蓮「あっ！」


ガッシャーンッ


カメラが片付けられていた方へ飛んでいき、まさかのクリーンヒット。
大きい音を立てて倒れてしまった。


蓮「っ‥‥やべっ‥」


どうしよぉ‥‥
俺は焦ってしまい、カメラを起こすこともせず、辺りに人がいないことを確認して、そのままスタジオを飛び出した。
幸い、楽屋に戻るまで誰にも見られずに済んだ。


と、思ってたんだ‥‥
この時までは‥‥

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