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Aはヒュッと息を詰まらせた。
大学の講義時間ギリギリに現れたその人物を見て。
見間違えるはすもない、銀髪をクルクルと跳ねらせ、死んだ目をした男。
『(…まさか”今世”で会うなんて)』
バクバクと心臓が煩いのをどうにか誤魔化そうと顔を伏せる。
その反動で髪が垂れ下がり、耳に掛けた。
そして暫くすると男は真っ直ぐ此方へ向かい隣の席に座った。
Aは一瞬顔を向けたがまた直ぐに前を向き直る。
「では、講義を始めます」
教授のその言葉に少しだけ救われた。
ーー
「一人? ペアが見つからなくて困っててさ、良かったら助けてくんね?」
その声にA顔を上げ隣を見た。
今回の課題は二人一組で進めるもので、隣に座る彼に声を掛けられたのだ。
「あ、もしかしてもうペア決まってる?」
『え、あ、いいえ…』
「まじ? 良かった。あ、良くはないか」
少し困ったように笑うと彼は「俺、坂田銀八」と改めて自己紹介をする。
『私は津餓A』
「Aね、よろしく」
そう握手を求めるように手まで差し出されてしまい、Aは断ることなどできなかった。
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作者名:アカツキ | 作成日時:2024年1月14日 0時