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「「誕生日プレゼント?」」
「そうだよ」
職員室に居づらくなった銀八は自分のテリトリーである準備室へと避難し、溜息の理由を説明した。
「例の恋人ですかィ?」
「あー! 美人だって噂の!」
「噂っつか、実際美人だからね」
「惚気は聞いてねぇでさァ」
「いや!! お妙さんより良い女なんて俺は知らない!」
「
何もかもが面倒臭くなった銀八はそう適当に答える。
「今までは何をあげてたんで?」
「まぁ色々だな…、去年はネックレスあげた」
「へぇ、意外とベタなんですね」
「安もんだけどね」
それでも時折そのネックレスを付けてるAを見るとどうやら気に入ってくれてるようで嬉しくもある。
「プレゼントは値段じゃないぞ! 先生!」
「おー、良い事言うじゃん」
「ところで彼女はどんな女性なんだ?」
近藤の質問に、「前にもこんな質問されたような…」と遠くない記憶を探ったがすぐに止めた。
多分前回は適当に答えた気がする。
「どんな、か…」
しかし今回ばかりは真剣に考える銀八に質問した二人は思わず顔を見合わせた。
普段なら適当にあしらって終わりのはずなのに。
銀八にとって今回はそれほど彼女のことを考えているのだと理解する。
「…そうだな、強いて言うなら…なんつーか薔薇みてぇな女かな」
ぽつりとそう呟いてハッとする。
待って? 俺今相当恥ずかしいこと言ったんじゃね?
そう自覚しゆっくり顔を上げると、そこには驚いた顔をしている近藤と沖田の姿がある。
「待って待って今の無し!」
最悪だ、絶対からかわれる。
しかし聞こえてきた言葉は揶揄うものでも、冷やかしでもなかった。
「先生がそこまでベタ惚れする女性なら俺も会ってみたいでさァ」
「嗚呼そうだな! それにきっとどんなもんでも喜ぶさ!」
自分よりも年下の高校生、ましてや生徒にそんなことを言われるなんて。
恥ずかしいやら嬉しいやらで何とも言えない気持ちになった。
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作者名:アカツキ | 作成日時:2024年1月14日 0時