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「何が「煙草くれたら良いよ」だよ、駄目に決まってんだろ」
『あ、見付かった』
「チッ...」
交渉成立、かと思えばそこに現れたのは銀八だった。
高杉がAに手渡した煙草は銀八によって取り上げられる。
「Aは禁煙中です〜」
「お前も吸うつもりも無ェのに受けっとてんじゃないよ」
そう言われAは口を尖らせ「ちぇ、」とでも言いたげだが、高杉は首を傾げていた。
吸わないのにどうして煙草を強請ったりなどしたのか。
「高杉が煙草吸わねぇようにしたんだろ」
『ちょっと余計な事言わないでよ』
「分かりやすいなぁ」
二人のやり取りにぽつんと取り残された高杉はつまらなそうに顔を顰め、銀八に没収された煙草を奪い取る。
「あッ! おい」
「俺はAにくれてやったんだ、手前ェじゃねぇ」
「生意気な」
「弁当はお預けだな…」
高杉はそう言うと踵を返し、屋上出口のドアへと歩き出す。
『いつでも作ってあげるよ!』
背中から聞こえてくる声に高杉は振り返る。
Aは困ったように笑って『煙草は程々にね』と言った。
高杉は思わず「クッ、」と一つ笑うとそのまま屋上を出て行った。
そんな彼を見送って銀八はAの方を向き直る。
「…罪な女だなぁ」
『何が?』
「何でも?」
『銀八先生は生徒に人気で嫉妬しちゃうけどね』
「はぁ? お前が…ッ、…いや、うん、良いわ… 弁当、有難うね」
言い返されてしまい、対抗しようとしたが銀八は我に返り鎮まると素直に礼を言った。
『どういたしまして』
Aはニッコリ笑う。
いつも彼女には勝てないんだ。
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作者名:アカツキ | 作成日時:2024年1月14日 0時