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「「「あ」」」
知った顔に見事に三重奏を奏でた。
「旦那じゃねぇですか、買い物ですかィ?」
「見りゃ分かんだろ」
「…Aも一緒か」
『こんにちは』
真選組のNo.2とNo.3である土方と沖田は黒い隊服の上着を腕に引っ掛け、シャツの腕を捲っている。
そりゃそうだ、こんな暑い日に隊服なんかをきっちり着込んでしまったら熱中症にでもなってしまうだろう。
「手まで繋いで仲良しですねー」
「おい、総悟、それくらいにしてやれ」
沖田の言い草に苛立ちを覚えたが、それを制したのは土方だった。
ちらりと隣のAに目をやって「行くぞ」と横を通り過ぎて行く。
俺たちもまた歩みを進めようとしたが、彼女は俺から手を離すと二人の後を追い掛けた。
「ぁ、おい」
Aは二人に声を掛ける。
俺はその様子を黙ってその場で見守った。
何かを二、三言葉を交わすと軽く会釈をし駆け足で戻って来た。
『ごめん、お待たせ』
「何喋ってたの?」
『ん、ナイショ』
悪戯な笑みに何も言えなくなった。
彼女は”A”の笑顔だけは本物だと錯覚するほど上手いのだ。
だからそれ以上は問い詰める事なく、「そっか」と返す。
「やべ、早く行かねぇと特売の時間始まる!」
『走ろ!』
「うぉっ?!」
手を掴み直し引っ張られ体勢を崩しそうになるがこの感覚は少し懐かしくて笑いそうになるのを手で押さえて隠した。
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アカツキ(プロフ) - おひなさん» はじめまして、温かいコメント有難うございます。またご縁がありましたら読んでくださると嬉しいです (8月15日 7時) (レス) id: a7c4fa7239 (このIDを非表示/違反報告)
おひな(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました!😊 (8月14日 23時) (レス) @page38 id: fb3fd917e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アカツキ | 作成日時:2023年7月24日 13時