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基本的にロボットには人の心は存在しない。
それはAだって例外では無いのだ。
「確かに、私たちに理解できない感情はいくつもあります」
「しかし、それを蔑ろにしたりはしません」
スナックお登勢で働くたまはそう言う。
「何だい、Aに何かあったのかィ?」
「そう言うんじゃねぇけど」
歯切れの悪い回答にお登勢もたまも顔を見合わせ首を傾げた。
朝目を覚ますと隣にはAの姿があって、まだ眠っていた。
そう言えば昨日は目覚ましをセットしなかった。
「いやさぁー…、彼奴さ、どんどん”A”になってきたと言うか」
「それの何が不満だってんだい」
「不満、とかじゃねぇけどさぁ、何つーか… ああもう!!」
両手で頭を抱え、髪をぐちゃぐちゃにする。
髪だけじゃなく、頭の中までぐちゃぐちゃだ。
「何を悩んでるのか知らないけどね、」
「あの子だって同じだよ」
お登勢の言葉に顔を上げると、其奴はふぅ、と煙草の煙を吐き出す。
ふわりと漂うその煙を遠い目で見ながら言葉の続きを聞いていた。
「色々考えてんのはアンタだけじゃないさ」
お登勢の言う「あの子」はAの事だろう。
彼奴が何を考えてるのか、知ってるのなら教えてほしいものだ。
「銀時様、Aにも感情はありますよ、きっと」
「”A様”のデータが入ってるんですから」
たまは普段見せない柔らかな笑顔を見せた。
そうして思い出す。
そうだ、Aのデータ、どうして源外のジジイが持っていたのか。
可能性があるとすれば、……
「…そんなの、って…、いや、でもなぁ…」
再び頭を抱える俺に、二人は何も言ってはこなかった。
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アカツキ(プロフ) - おひなさん» はじめまして、温かいコメント有難うございます。またご縁がありましたら読んでくださると嬉しいです (8月15日 7時) (レス) id: a7c4fa7239 (このIDを非表示/違反報告)
おひな(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました!😊 (8月14日 23時) (レス) @page38 id: fb3fd917e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アカツキ | 作成日時:2023年7月24日 13時