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「サボり?」
団子屋の長椅子に腰を掛けているとそんな声が降ってきた。
Aは空を見上げるように顔を上げると背後から覗き込む形で立っている銀時の姿があった。
「今日はサボりじゃねぇでさァ」
「沖田くん良いの食ってんじゃん」
「Aさんの奢りで」
自慢げにニィと笑う沖田に銀時は彼女を見る。
それはまるで「俺の分は?」とでも言うみたいだ。
Aはそれを無視して最後の一本に手を付けた。
「旦那は今日も暇してるんですかィ?」
「今日もって何だ! そうだよ仕事寄越せコノヤロー」
「もう真選組入隊したら良いのに」
「え、やだよ」
沖田がそんなことを言うなんて彼は相当強いのかもしれないとAは銀時に目を向ける。
「…何?」
『いえ、…お強いんですか?」
「あー…、まぁお宅の副長よりは強いかもね」
「寝言は寝て言え」
今までそこには居なかった人物の登場に3人は同時に彼を見た。
「総悟、休憩は終わりだ。さっさと見回りに戻れ」
「ちぇ、旦那が副長ならこんな一々言わねェのに」
「俺を巻き込むのやめてくんない? 言わないけど」
どこまでも土方を怒らせるのが上手な沖田であるが、土方も土方で折れはしないので拳骨一つ落とすと沖田の首根っこを掴み引っ張り連れて行ってしまった。
沖田は手をひらひら振りながらされるがまま引き摺られていく。
「Aちゃんは行かなくて良いの?」
『私は午後から資料整理のみなので』
「ふーん…、そういや昨日の傷の具合はどう?」
『お陰様で問題ありません、ご心配お掛けしました』
銀時は先ほどまで沖田が座っていた場所に腰を下ろした。
『坂田さんは』
「その”坂田さん”って呼び方やめね?」
『……では”旦那”』
「ブッ!! え?! 何で?!」
『…? 沖田さんがそう呼んでいるので』
まさか”旦那呼び”されるとは思わず吹き出してしまった銀時だったが冷静に考えて、真選組の奴らは「旦那」と呼ぶ人物が多いことを思い出した。
「はぁ、まぁ良いか…」
『旦那は副長と手合わせしたことがあるのですか?』
「手合わせってか、一方的に喧嘩売られたっつか」
『副長は負けたのですか?』
「…そんなに気になるなら本人に聞けば?」
あからさまに不機嫌になる銀時にAは首を傾げそれ以上は質問しなかった。
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アカツキ(プロフ) - めぐぽん(*´・∀・)さん» 最後まで読んでくださり有難うございました。めぐぽん様からのコメントとても励みになりました。 (7月2日 22時) (レス) id: d828e70b5b (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - 完結、お疲れ様です!改めて、アカツキさんのお話が好きだと思いました。また楽しみにしてます! (7月2日 12時) (レス) id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - めぐぽん(*´・∀・)さん» 完結の目処は立っていますので更新はコンスタントに行えると思います。最後まで見守って下さると嬉しいです。コメント有難うございます (6月24日 14時) (レス) id: d828e70b5b (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - あさん» はじめまして。コメント有難うございます。かなり前に書き溜めてた作品を軽く手直ししながら載せているので至らない所もあるかもしれませんが、最後まで楽しんで頂ければ幸いです... (6月24日 14時) (レス) id: d828e70b5b (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - 更新ありがとうございます!続きが楽しみです! (6月24日 12時) (レス) @page16 id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アカツキ | 作成日時:2023年6月21日 22時