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「おやじぃ〜! もう一杯!!」

「銀さん、アンタ飲み過ぎだよ」

「ンだよ〜、まだまだいけっぞ〜」




居酒屋の大将は困った顔をする。
 



カウンターにはベロベロに酔っ払った銀時が居て真っ赤な顔で机に突っ伏し始めた。
かれこれ数時間は酒を仰いでいたので無理もない。
 


「随分出来上がってんな」

「副長さん、いらっしゃい」

「嗚呼…ビールとあと摘みを適当に頼む」

「あいよ!」



普段なら好き好んで隣になど座ったりしないが、今日の土方は銀時の隣の席に腰を下ろした。
銀時はその様子を机に頭を置いたまま見ている。




「飯は食ったのか?」

「んー、ぼちぼち…」

「まだ食えるか?」

「えー…? んー、まぁ出されれば」

「なら少し付き合え」




土方の申し出に驚いたのは銀時だけではなくカウンター越しの厨房にいる大将も同じだった。
それでも土方は何でもないとでも言うように涼しい顔して出されたビールを飲み始める。




「どういう風の吹き回しだよ?」

「別に、ただ相手が欲しかっただけだ」

「ふーん? んじゃそう言う事にしておいてやるよ」





人は思っても見ない驚きが訪れると酔いが少し醒めるようだ。
銀時は上体を起こし再び酒お猪口に手をつける。





「あの日、連絡くれて助かった」

「え? 何のこと?」

「Aを保護しただろ」

「あー…、あれね。まぁ知った顔だったし放置も出来ねぇだろ」




まさかあの土方がこんなにも素直に礼を言ってくるなんて明日地球が終わるかもしれない、なんて言ったら目の前の男は怒るのだろう。
銀時は言葉を飲み込む変わりに土方のつまみに箸を付けた。
案外何も言わないもんだから、これは相当…と思う。





「土方くんはさ、ずりィよね」

「あ?」

「だってAちゃんの気持ち知ってて”あんな事”言ったんでしょ?」

「…チッ、総悟か」





銀時は鋭い目で土方を見た。





「それはずりィよ」





ここまで言われても反論しないと言う事は土方もそれは自覚しているのだろう。
残りのビールを一気に仰ぎ、ダンッ、とカウンターに置いた。






「めちゃくちゃ言ってんの気付いてる? 実質プロポーズみたいなもんだろ」

「な?! ンなつもり...「おい」...ッ」

「危ねぇな、”否定”したらそれこそ本当に終いだからな?」

「……お前に説教されてちゃ世話ねぇな」






土方は席を立つと明らかに多い金額を置いて店を後にした。





「本当にな」




残された銀時がぽつりと呟いた。

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アカツキ(プロフ) - めぐぽん(*´・∀・)さん» 最後まで読んでくださり有難うございました。めぐぽん様からのコメントとても励みになりました。 (7月2日 22時) (レス) id: d828e70b5b (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - 完結、お疲れ様です!改めて、アカツキさんのお話が好きだと思いました。また楽しみにしてます! (7月2日 12時) (レス) id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - めぐぽん(*´・∀・)さん» 完結の目処は立っていますので更新はコンスタントに行えると思います。最後まで見守って下さると嬉しいです。コメント有難うございます (6月24日 14時) (レス) id: d828e70b5b (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - あさん» はじめまして。コメント有難うございます。かなり前に書き溜めてた作品を軽く手直ししながら載せているので至らない所もあるかもしれませんが、最後まで楽しんで頂ければ幸いです... (6月24日 14時) (レス) id: d828e70b5b (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - 更新ありがとうございます!続きが楽しみです! (6月24日 12時) (レス) @page16 id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アカツキ | 作成日時:2023年6月21日 22時

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