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「新八ィ! 神楽! ちょっと手伝え!」
 






帰ってくるなり玄関で名前を呼ぶ銀時の声に何事かと出てきた新八と神楽はその光景に驚いた。
 






「救急箱用意してくれ。神楽は洗面器にぬるめの湯を」
 
 




ブーツを投げ捨てるように脱ぎ万事屋へと帰った銀時は二人に説明をする代わりにテキパキと指示をした。
幸いにも敷きっぱなしにされていた寝具の上へと彼女を横にさせ、傷のある頭をタオルで優しく抑えた。
 
 





「…病院に連れて行った方が良いんじゃないですか?」


「後でな」




「銀ちゃん! お湯とタオル用意したヨ!」


「おー、さんきゅ」

 
 




あまりに悲惨な状況に銀時は二人に「後はこっちでやるから」と部屋から追い出した。
汚れた顔や腕を拭き、慣れた手付きで応急処置を施す。
 
 






『ふ くちょ、…』
 
 






譫言で零す相手は此処には居ない男で銀時は手を止めた。
 
 






「はぁ…、俺は土方に同情するよ」
 
 





そっと頭のタオルを外せば血は止まっており、もう垂れ落ちてくることはなかった。
神楽の用意してくれたお湯でタオルを濯ぎ、新八の持ってきた救急箱からガーゼと包帯を取り出す。
 
 
 





「彼奴の事が好きなら、お前はもっと手前ェを大切にしねぇと」
 







聞かれるはずのない言葉が、包帯と共に巻かれていった。
 
 





.
 




 

.
 



 

.
 
 






「おー、土方くん居る?」
 






電話越しに聞こえる騒音は隊士達が忙しなく動いているのだと理解できた。
受話器の向こうで「副長ー! 万事屋の旦那から」と山崎の声が聞こえる。
 


数秒して「もしもし」と指名した男の声する。
 
 




「お宅のAちゃん、ウチに居るから回収に来て」

「あ? 何で手前ェんとこに居んだ」

「怪我してるのを拾った」

「怪我?! 何したんだお前!」
 
 





普段冷静な男の声とは思えない程の声量で驚きの声を上げる土方に、銀時は思わず耳から電話を遠ざけた。
 
 






「……いや、悪ィ、お前が何かする筈無ェ…」

「まぁ、待ってるわ」

「嗚呼、直ぐ行く」

 
 
 
 


電話を切ろうとする土方を呼び止める。
 
 
 





「あのさ、あんま怒らないでやってね」
 
 






銀時はそれだけ言うと初めて電話を切った。
 
 
 
 







---

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アカツキ(プロフ) - めぐぽん(*´・∀・)さん» 最後まで読んでくださり有難うございました。めぐぽん様からのコメントとても励みになりました。 (7月2日 22時) (レス) id: d828e70b5b (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - 完結、お疲れ様です!改めて、アカツキさんのお話が好きだと思いました。また楽しみにしてます! (7月2日 12時) (レス) id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - めぐぽん(*´・∀・)さん» 完結の目処は立っていますので更新はコンスタントに行えると思います。最後まで見守って下さると嬉しいです。コメント有難うございます (6月24日 14時) (レス) id: d828e70b5b (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - あさん» はじめまして。コメント有難うございます。かなり前に書き溜めてた作品を軽く手直ししながら載せているので至らない所もあるかもしれませんが、最後まで楽しんで頂ければ幸いです... (6月24日 14時) (レス) id: d828e70b5b (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - 更新ありがとうございます!続きが楽しみです! (6月24日 12時) (レス) @page16 id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アカツキ | 作成日時:2023年6月21日 22時

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