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「あーーー! くそ! 結局こうなるのかよ!」
銀時の肩には呑み潰れた土方の腕が引っ掛けられ、半ば引き摺る形で江戸の町を歩いていた。
というのも、珍しく早々に酔い潰れた土方を回収するよう大将に頼まれたのだ。
「もう店仕舞いだし…銀さん、アンタ、土方さんには何度も奢ってもらってるだろう?」
そう言われ断り切ることが出来なかった。
「大して摘みも腹に入れず酒ばっか飲むから…ッ!!」
口から出るのは文句ばかりだ。
己と背丈の近い男一人、酒の入った体で運ぶのは少し、いやかなりしんどい。
こんなことならさっさと退散すればよかったなんて後悔も今更である。
「おいこら! 開けろ! テメェ等んとこの副長さんのお届けだ!」
真選組門を強く叩き付けそう怒鳴る。
扉は思ったよりも早く開き、ギィと音を鳴らして出てきたのは先ほどまで土方が話題に上げていた女だった。
『ご苦労様です、お世話お掛けしました』
「ほんとだよ…つか何? まだ起きてたの?」
『副長が帰ってこないので』
「え、心配して起きてたの?」
どんだけ過保護なんだよ、と呆れてしまうところ、彼女はそれを否定した。
『心配、とは少し違いますが… 副長が居ない間真選組を守るのも私の役目なので』
屯所内は確かに人の起きてる気配は無く、他の隊士は休んでいるようだった。
「…んじゃ、副長さんは届けたから、お前も早く寝なさいよ」
『お気遣い有難うございます。坂田さんもお気をつけて』
既に眠りこけている土方をAへと受け渡す銀時は彼女の代わりに屯所の門を閉じながら飲み屋での会話を思い出していた。
「…成程ね、これは確かに」
ぽつりと独り言のように吐き出されたそれにAは振り返ったがその時には扉は閉められていて聞き返すことも、彼の姿を見ることも叶わなかった。
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アカツキ(プロフ) - めぐぽん(*´・∀・)さん» 最後まで読んでくださり有難うございました。めぐぽん様からのコメントとても励みになりました。 (7月2日 22時) (レス) id: d828e70b5b (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - 完結、お疲れ様です!改めて、アカツキさんのお話が好きだと思いました。また楽しみにしてます! (7月2日 12時) (レス) id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - めぐぽん(*´・∀・)さん» 完結の目処は立っていますので更新はコンスタントに行えると思います。最後まで見守って下さると嬉しいです。コメント有難うございます (6月24日 14時) (レス) id: d828e70b5b (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - あさん» はじめまして。コメント有難うございます。かなり前に書き溜めてた作品を軽く手直ししながら載せているので至らない所もあるかもしれませんが、最後まで楽しんで頂ければ幸いです... (6月24日 14時) (レス) id: d828e70b5b (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - 更新ありがとうございます!続きが楽しみです! (6月24日 12時) (レス) @page16 id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アカツキ | 作成日時:2023年6月21日 22時