【銀魂】パズル&ピース

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教室に取り残された高杉もまた革の鞄を手に銀八の横を通り過ぎようとするも彼は其れを阻止した。
　
　
　





「高杉、お前、何がしたいの」

「..."何が"、ってのは何の事だ?」

「惚けんなよ、Aに近付いてどうするつもりだ」

「どうもしねぇさ。…随分心配するんだなァ?」
　
　
　






高杉は睨みを効かせ、更に言葉を重ねる。
　
　
　





「手前ェこそ、顧問と言えど教師の度を超えてるんじゃねぇか?」
　
　
　





銀八は言い返せず、去っていく高杉の後ろ姿を見ていた。
教室にはまだまだ完成には程遠いパズルの残骸と、片隅にピースの破片の山があるだけ。
それに近付き屈み込んではピースの一つを手に取った。
　
　
　





「呪われてんなぁ…、」
　
　
　






そうぽつり零した言葉は誰も聞いていない。
何となく適当にピースを当て嵌めたがそんな都合よく嵌る訳もなく、微妙に繋がらない接続部が歪んで見えた。
　
　
　



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「お疲れ、閉めてきたか?」
　
　
　
　





前髪で目元が隠れた男は珈琲片手に声を掛ける。
銀八はその男を見ると戸締りしてきた教室の鍵の束を其奴に投げた。
　
　
　






「おーおー、荒れてんね」

「俺のジャンプ、パクっただろ、全臓せんせ」

「人聞悪いな、借りたんだよ」
　
　

　



今度は逆にばさりと机の上に投げ出されたジャンプ。
しかし銀八はそれには触れようとすらしない。
　
　
　







「それにしても「卒業まで」なんて、また随分長い期間あるけど、そっちはどうなの?」

「馬っ鹿、あっという間よ? 知ってんでしょ」

「ま、それもそうか… 俺も楽しみにしてんのよ、完成をさ」
　
　
　






全臓は薄く笑って見せて自分の席へと戻って行った。
「はぁーーー」と深い溜息を吐き出す銀八の体重が小さな椅子の背凭れをギシと音を立てる。
　
　
　






見上げた先にある天井はあまりにも殺風景で、まるで彼女の作るパズルみたいだった。
　
　
　







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