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高杉はピタリと足を止めた。
廊下奥から歩いてくるのはAと、そして土方だった。
「完成しそうなのか?」
『やっと3分の2くらいは終わりました』
「ぎりぎりなんじゃねぇか?」
『ぅ…、かもしれません』
その会話の内容は多分彼女の制作しているパズルの話題だろう。
Aの作っている1万ピースのパズルは校内でも有名で、美術室前を通過する生徒たちは時折教室内を覗いて作成経過を見ている。
しかし高杉は二人が並ぶ姿に微かな苛立ちを覚え、鉢合う前にその場を去った。
「…どうした、A?」
『いや…、今、高杉先輩居ませんでした?』
「は? 彼奴がこの時間に校内を彷徨いてるかよ」
土方は冗談ぽく笑ったがAはそこに居たかもしれない高杉の存在を見つめていた。
.
.
.
ガラッ
いつもよりも乱暴に開かれる扉にAは驚き肩を跳ねらせた。
その人物が高杉であることを確認すると何処かホッとした様子を見せて『お疲れ様です』と挨拶する。
高杉は何も言わずズカズカと教室内に入ってくるとAの目の前に立ち彼女を見下ろした。
高杉によってできた大きな影に覆われてAは顔を上げる。
目の前の彼は誰が見ても機嫌が悪いと言えよう。
Aからしてもそれは直ぐに分かった。
「...思ったんだが、こんなパズルに意味なんてねぇんじゃねぇかァ?」
突然何を言い出すのだろう。
そんな事ない、と反論しようとした時。
高杉は完成されたパズルの方へ近づき、そっとそれに触れたかと思いきや一つのイーゼルを勢いよく倒した。
完成していたパズルの一部は大きく崩れ落ち地面にバラバラになっている。
その光景にAは目を見開き絶句した。
『な、に…するんですか...!』
「見りゃ分かるだろ」
もう一枚のイーゼルにも手を掛けようとする高杉にAはカッとなり珍しく大きな声で彼の名前を呼んだ。
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アカツキ(プロフ) - 花咲あずみさん» 暖かいコメント有難うございます。全て、ですか...それはまた貴重なお時間頂き..... そのように言って貰えて感無量です (4月22日 15時) (レス) id: 7588857b81 (このIDを非表示/違反報告)
花咲あずみ - 完結までの間お疲れ様でした。アカツキさんの銀魂の作品は全て読ませてもらいましたが全部本当に素敵な作品で何度も見てます!アカツキさんの作品が一番好きです! (4月22日 14時) (レス) @page39 id: e15ecd0c92 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - 奥宮さん» コメント有難うございます。伏線張るだけ張って全然回収出来ていないのでそこを汲み取って貰えて感謝です... 気紛れに書いているのでまた機会がありましたらよろしくお願いします。 (5月31日 7時) (レス) id: 417deeb455 (このIDを非表示/違反報告)
奥宮(プロフ) - 完結おめでとう御座います!!本当文才といい伏線、そして物語全て神ががっててそんでキュンキュンする話とかもぶっ込んできてるせいでもう、何というか天才ですね!?こんな面白い作品に出会えて、追いかけれたことが何よりも嬉しかったですありがとうございました!! (5月30日 18時) (レス) @page37 id: 6e2eb1af59 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - めぐぽん(*´・∀・)さん» 初めまして、コメント有難うございます。そのように言って貰えて嬉しい限りです…! 高杉オチを書こうとすると大体こんな感じの暗さになってしまうのですが楽しいのでまたいつか書きます。その時は良しなに (5月30日 13時) (レス) id: 417deeb455 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アカツキ | 作成日時:2023年5月16日 16時