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「これより、___花火が上がります」
「___係員の方は、」
流れるアナウンスの数分後、ドーーーンと派手な花火の音が聞こえたがAはそれを見ようとはしなかった。
ただただ静かに、約束した人物が来るのを待っている。
「A? 何してんだ、もう始まってんぞ」
その声に初めて顔を上げると浴衣姿の土方が居た。
『…土方先輩、浴衣姿良いですね』
「いや、そうじゃねぇだろ」
『早く行かないと花火終わっちゃいますよ』
「…一人ならお前も来るか? 上に近藤さん達も居るが」
土方の誘いにAは首を振った。
『待ってる人が居るので』
待ってる相手が誰なのか、土方は聞かない。
聞かなくても薄々気付いているのだ。
「……来ると良いな」
彼の言葉にAは笑顔を見せる。
そんな彼女を置いて階段を登る土方は後ろ髪引かれる思いで一段、また一段と己を待つであろう仲間の元へと急いだ。
.
.
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「A」
『花火、終わっちゃいましたね』
「…何でまだ居やがる」
『此処で待ち合わせだったので』
Aは立ち上がり浴衣に着いた砂埃を軽く叩いた。
今が何時なのか、分からないが祭りはとっくに終わり、屋台の片付けがされている。
「怒らねぇのか」
『何でですか? ちゃんと来たじゃないですか』
高杉はバツが悪そうに顔を歪めた。
遅れたくて遅れて来たわけじゃない、約束の事だって覚えていた。
彼女を祭りに誘ったのは高杉の方なのだから。
「…A、お前、”何か”知ってるのかァ?」
『”何か”って何ですか?』
「……分からねぇなら良い」
訳の分からないことを言う高杉にAは首を傾げたが、約束を破った詫びなのか「家まで送る」という彼の言葉に甘えた。
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アカツキ(プロフ) - 花咲あずみさん» 暖かいコメント有難うございます。全て、ですか...それはまた貴重なお時間頂き..... そのように言って貰えて感無量です (4月22日 15時) (レス) id: 7588857b81 (このIDを非表示/違反報告)
花咲あずみ - 完結までの間お疲れ様でした。アカツキさんの銀魂の作品は全て読ませてもらいましたが全部本当に素敵な作品で何度も見てます!アカツキさんの作品が一番好きです! (4月22日 14時) (レス) @page39 id: e15ecd0c92 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - 奥宮さん» コメント有難うございます。伏線張るだけ張って全然回収出来ていないのでそこを汲み取って貰えて感謝です... 気紛れに書いているのでまた機会がありましたらよろしくお願いします。 (5月31日 7時) (レス) id: 417deeb455 (このIDを非表示/違反報告)
奥宮(プロフ) - 完結おめでとう御座います!!本当文才といい伏線、そして物語全て神ががっててそんでキュンキュンする話とかもぶっ込んできてるせいでもう、何というか天才ですね!?こんな面白い作品に出会えて、追いかけれたことが何よりも嬉しかったですありがとうございました!! (5月30日 18時) (レス) @page37 id: 6e2eb1af59 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - めぐぽん(*´・∀・)さん» 初めまして、コメント有難うございます。そのように言って貰えて嬉しい限りです…! 高杉オチを書こうとすると大体こんな感じの暗さになってしまうのですが楽しいのでまたいつか書きます。その時は良しなに (5月30日 13時) (レス) id: 417deeb455 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アカツキ | 作成日時:2023年5月16日 16時