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29. ページ30

 






「A"先生"」


 




銀時の呼び掛けにAは驚いた顔で彼を向き直った。


 




『え、何急に』

「寝言で『先生』って呟いてたから」

『嘘、本当に?』

 





銀時は一つ頷いた。
彼女はと言えば寝言を言っていた事が恥ずかしかったのか顔を赤くし、その頬を両手で抑えた。


 



しかしそんな彼女とは逆に、銀時は真面目な顔で言うのだ。


 





「"先生"に戻りてぇ?」

『どうして?』

「Aの本心を知らねぇなぁって思って」



 




万事屋の、所謂社長イスに座る銀時はそっぽを向いて窓の外を眺めていた。
Aはそんな彼に近付いて、ドカッと勢いよく銀時の上に座る。


 






「なッ、何だよ?!」

『んー… 貴方が寂しそうな顔してたから』

「してねぇし、そんなん」


 






そう言いながら自身の膝の上に座る彼女の手を握り遊びながらふてぶてしくしている。


 






『忘れたの?』

「何が?」

『私には貴方だけって言ったでしょ?』



 





彼女もまた銀時の大きな手に触れている。
ただその表情は後ろに居る銀時からは見えなかった。

 






『晋助にね、言われたの』
『「"先生"になれたか?」って』
『どうだろう… 松陽先生の背中はまだ遠いかな』

 






顔が見れないのがもどかしくて彼女の背後から抱き締める。
背中からでも聞こえるトクトク鳴る心音が心地良い。



 




「"A"は"A"だろ、松陽になろうとしなくていい」

『え〜? あの人に憧れて"先生"やってたんだけどなぁ...』

「子供たちはお前しか知らねぇんだから、良いんだよ」



 





天パの頭をぐりぐりと背中に押し付ける彼の行動はAには少しこそばゆくて、何よりその言葉は嬉しいものだった。

 
 
 





『私、やっぱり銀時を好きになって良かった』


 




「...それは顔見て言って欲しいなー…」


 






Aは頑なに顔を向けない。
しかし彼女の耳は真っ赤に染まっていた。





 





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アカツキ(プロフ) - 〇〇さん» 初めまして、コメント有難うございます。そのように言って頂けて嬉しいです。パスワードの件ですが、現在全ての作品に置いて鍵の掛かっている作品は非公開とさせて頂いています。公開の予定もパスワードをお教えする事も出来ません。申し訳ありません (4月14日 9時) (レス) id: 7588857b81 (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - すごくよかったです 読んでてドキドキしてなんかもう最高でした!! あの質問なんですけどパスワードがかかってる小説あるじゃないですか、その、パスワードって教えていただけますか? (4月14日 7時) (レス) @page44 id: 6c4944cbd5 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - 蘆花さん» 初めまして、コメント有難うございます。既に完結の目処も立っておりますので最後まで楽しんで下さると嬉しいです (2023年3月28日 12時) (レス) id: 59cea801ed (このIDを非表示/違反報告)
蘆花(プロフ) - やだステキ応援してます! (2023年3月28日 12時) (レス) @page11 id: bf60b993eb (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - 東雲さん» コメントありがとうございます。出会いについてはこれから少しだけ書けたらなと思っておりますので楽しみにして下さると嬉しいです (2023年3月27日 19時) (レス) id: 61673d253f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アカツキ | 作成日時:2023年3月25日 20時

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