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「いつから江戸に居るんだ?」
行く宛ても無く歩く彼女を横目に、高杉は何処へ行くのかは聞かなかった。
代わりにそんな質問をする。
『んー…、数ヶ月前だよ、今は真選組で仕事したりしてる』
「...そりゃ、俺と居るのがバレたらクビどころの騒ぎじゃねぇなァ?」
『ふふ、スリルがあってドキドキするね』
「この状況でンな事言えるのは手前ェくらいだな」
高杉は楽しそうにクツクツと笑う。
世間では過激派攘夷浪士等と恐れられている彼がそんな風に笑う姿が見れるのがAは嬉しいのだ。
『寺子屋を暫くお休みしてるのは少し寂しいけどね』
「また好きにやりゃ良い」
『晋助には助けて貰ってばかりで何も返せてないや』
眉を八の字に下げ、困ったように呟くAを高杉は軽く目線を向けるだけで何も言わなかった。
『あの寺子屋は晋助が支援してくれてなかったら出来なかった』
「......」
『まさか"あの"高杉晋助が援助してくれてる寺子屋だったなんて誰も思わないよね』
タタッ、と軽いステップを踏んでくるり振り返る悪戯に笑って見せる彼女に高杉はようやく「そうだな」と短い返事をした。
そしてまた口を開く。
「なァ、A」
「"先生"にはなれたかァ?」
.
.
.
太陽が頭上を照らす中、Aは一人で歩いていた。
短い時間であったが高杉と話が出来た事は彼女にとって幸運で、万事屋を飛び出してきて正解だったかもしれない。
そして思い出すのは今朝の事だった。
「A…ッ!!」
踵を返し、万事屋への帰路を辿ろうとした所、聞き慣れた声が名前を呼ぶ。
『銀時、』
Aは言葉に詰まった。
それは銀時も同じで、何を言うべきか悩んでしまい口篭る。
『…財布をね、忘れちゃったの…買い物しようと思ったのに』
そんな彼にAはそう言って照れ臭そうに笑う。
『帰ろっか』
その言葉に銀時はこくりと頷く。
それがまるで子供の様でAはまた笑うのだった。
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アカツキ(プロフ) - 〇〇さん» 初めまして、コメント有難うございます。そのように言って頂けて嬉しいです。パスワードの件ですが、現在全ての作品に置いて鍵の掛かっている作品は非公開とさせて頂いています。公開の予定もパスワードをお教えする事も出来ません。申し訳ありません (4月14日 9時) (レス) id: 7588857b81 (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - すごくよかったです 読んでてドキドキしてなんかもう最高でした!! あの質問なんですけどパスワードがかかってる小説あるじゃないですか、その、パスワードって教えていただけますか? (4月14日 7時) (レス) @page44 id: 6c4944cbd5 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - 蘆花さん» 初めまして、コメント有難うございます。既に完結の目処も立っておりますので最後まで楽しんで下さると嬉しいです (2023年3月28日 12時) (レス) id: 59cea801ed (このIDを非表示/違反報告)
蘆花(プロフ) - やだステキ応援してます! (2023年3月28日 12時) (レス) @page11 id: bf60b993eb (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - 東雲さん» コメントありがとうございます。出会いについてはこれから少しだけ書けたらなと思っておりますので楽しみにして下さると嬉しいです (2023年3月27日 19時) (レス) id: 61673d253f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アカツキ | 作成日時:2023年3月25日 20時