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『重心です』
「重心?」
『はい、体勢や重心からある程度何処から打って来るのか分かります』
土方に説明するAに、勝負に負けた沖田も近付いてきた。
「それが分かるならAさんも戦えるじゃねぇですか」
己は強くない、そう説明していた彼女をじっと見詰める大きな瞳がAを映したがその間に割って入る様に銀時が立ちはだかる。
「ちょっと、俺の奥さんを虐めないでくんない?」
それでも沖田も土方も腑に落ちないのかずいずいと詰め寄るもんだから深い溜息を吐き出しては渋々説明をするのだ。
「此奴は観察力が他より長けてるんだよ」
「相手が次に何をしたいのか、何をするのか、」
「そんでもって何で対応すれば良いのか」
それが分かるのだ、と。
『分かってても、私は身体の対応が追い付かないんです...』
自身の無力さが恥ずかしいのかポリポリと指で頬を掻くAに説明を聞いた2人は凝視する。
それは、とても有能な能力だ。
「そりゃ...、弱点とかも分かるのか?」
『その人の得意・不得意なものは何となく』
「.........」
何やら考え込む土方を他所に、審判の山崎が次の試合を開始したいからと準備をするよう言ってくる。
気怠い様子で道場の真ん中へ移動する銀時に着いて行く土方はAが気になるのか一度振り返ったが直ぐに目の前の試合に集中した。
「銀ちゃん頑張れヨ〜」
「負けるな副長!!」
2人が位置に着くと周りはワァと盛り上がる。
「初め!!」の合図と共に先に仕掛けたのは土方だ。
『(早い...!!)』
激しくぶつかり合う竹刀がギリギリと嫌な音を立てている。
土方は本気だ。それは彼の竹刀を受け止めている銀時が1番よく分かっている。
「おい、万事屋」
「あん?」
「お前らが勝ったら要望通り肉でもなんでも買ってやる」
「まじ?」
「だが、俺らが勝ったら...」
ボソボソと何やら話している2人の会話など、観客には聞こえない。
しかし土方の言葉を聞いた銀時は動揺からか足元がもた付き、その隙を見事に一本取られたのだった。
「「「............!!」」」
誰もが息を飲むように2人を見守っていたが、初めにその空気を変えたのは「___い、一本!!」と言う山崎の掛け声だった。
『銀時が、負けた...』
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アカツキ(プロフ) - 〇〇さん» 初めまして、コメント有難うございます。そのように言って頂けて嬉しいです。パスワードの件ですが、現在全ての作品に置いて鍵の掛かっている作品は非公開とさせて頂いています。公開の予定もパスワードをお教えする事も出来ません。申し訳ありません (4月14日 9時) (レス) id: 7588857b81 (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - すごくよかったです 読んでてドキドキしてなんかもう最高でした!! あの質問なんですけどパスワードがかかってる小説あるじゃないですか、その、パスワードって教えていただけますか? (4月14日 7時) (レス) @page44 id: 6c4944cbd5 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - 蘆花さん» 初めまして、コメント有難うございます。既に完結の目処も立っておりますので最後まで楽しんで下さると嬉しいです (2023年3月28日 12時) (レス) id: 59cea801ed (このIDを非表示/違反報告)
蘆花(プロフ) - やだステキ応援してます! (2023年3月28日 12時) (レス) @page11 id: bf60b993eb (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - 東雲さん» コメントありがとうございます。出会いについてはこれから少しだけ書けたらなと思っておりますので楽しみにして下さると嬉しいです (2023年3月27日 19時) (レス) id: 61673d253f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アカツキ | 作成日時:2023年3月25日 20時