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ダンッ!
背が壁に強く当たり痛みを感じる。
突然の出来事に周りも驚き止めに入ろうとしたが、土方本人がそれを制した。
その目は何も言わずとも「大丈夫だ、手を出すな」とそう物語っている。
隊士達は刀に添えていた手を離し、警戒したままゆっくりと部屋から離れて行った。
「…先に手が出るなんてらしくねぇな」
「万事屋」と呼ばれた彼はギリと奥歯を食いしばらせて音を鳴らす。
真選組に突然押し掛けてきた銀時は門番をしていた隊員を押し退け許可も取らずに土方の居る副長室に乗り込んで彼の胸ぐらを掴んでいた。
「お前、Aになんて言った…?」
「Aが俺に何か言われたって?」
「俺が質問してんだけど」
彼にしては"らしくない"顔に、土方も"らしくない"対応していた。
胸ぐらを掴まれたまま、両の手を上げ此方からは危害を加えないことを示す。
「彼奴は何も言わなかった、だから聞きに来た」
「どうせ「好きだ」とか言ったんだろ」
「……お前はAが好きなのか」
「会話してくんね?」
「御前のペースに持っていこうとしてんじゃねぇよ」
怒っているはずなのに段々とか細くなる声に、土方は漸く己の胸ぐらを掴んでいた彼の手を外す。
案の定あっさりと手を離す銀時はその場にドカッと音を立てて座る。
そして「はぁーーー…」と深い溜息を吐き出した。
「最低だよ、お前......」
「…嗚呼、俺もそう思う」
手のひらで顔を覆って呟く銀時に、土方はポツリと同調した。
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アカツキ(プロフ) - 美姫さん» コメント有難うございます。登場キャラの想いが交差してぐちゃぐちゃに絡まるような、そんなお話にしたかったのですが難しかったです... 最後まで読んでくださり有難うございました (2023年2月12日 10時) (レス) id: 359e2a8a6b (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - 切なくて切なくて、でもとても美しい作品で、涙が止まりませんでした。本当に最高の作品でした。ありがとうございました。 (2023年2月12日 7時) (レス) id: ac5aee6225 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - おひなさん» 初めまして。コメント有難うございます。土方さん落ちは久々だったのでこれで良いのか迷走しましたが、おひなさんの暖かい言葉に救われました (2023年2月9日 7時) (レス) @page49 id: 359e2a8a6b (このIDを非表示/違反報告)
おひな(プロフ) - 最っ高な作品をありがとうございました!終始涙腺崩壊でした!w (2023年2月9日 2時) (レス) @page49 id: fb3fd917e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アカツキ | 作成日時:2022年12月27日 23時