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「花吐き病ですね」
『…ですよねー…、知ってました』
「まぁ、この症状みれば素人でも分かるよね」
白衣を着た男はそう言いながら慣れた手付きでカルテに内容を記入していく。
続けて「薬も出しておくから」と患者の顔も見ずに言った。
『治りますかね』
「津餓さん、…治療法は知ってるでしょ?」
『治りませんね』
「脈無しなんですか?」
患者である津餓Aは困ったように笑って見せる。
そして丸椅子からゆっくりと腰を持ち上げ挨拶をするように軽く会釈した後診察室から出て行った。
「津餓さんの想い人って誰なんでしょうね?」
「さぁね…、……次の患者さんを呼んでくれ」
「はーい」
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.
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始まりは少しだけ濃いピンクの花だった。
花びらはハート型のように愛らしく、大きさは小ぶり。
Aはそれを見るなり絶句するどころか目を輝かせて持っていた花の図鑑を本棚から引っ張り出した。
パラパラとページをめくって見つけた[サクラソウ]。
[サクラソウ]:[はじまり]
そして、
『[初恋]、かぁ...』
そう小さな声で呟くとパタンと本を閉じた。
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アカツキ(プロフ) - 美姫さん» コメント有難うございます。登場キャラの想いが交差してぐちゃぐちゃに絡まるような、そんなお話にしたかったのですが難しかったです... 最後まで読んでくださり有難うございました (2023年2月12日 10時) (レス) id: 359e2a8a6b (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - 切なくて切なくて、でもとても美しい作品で、涙が止まりませんでした。本当に最高の作品でした。ありがとうございました。 (2023年2月12日 7時) (レス) id: ac5aee6225 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - おひなさん» 初めまして。コメント有難うございます。土方さん落ちは久々だったのでこれで良いのか迷走しましたが、おひなさんの暖かい言葉に救われました (2023年2月9日 7時) (レス) @page49 id: 359e2a8a6b (このIDを非表示/違反報告)
おひな(プロフ) - 最っ高な作品をありがとうございました!終始涙腺崩壊でした!w (2023年2月9日 2時) (レス) @page49 id: fb3fd917e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アカツキ | 作成日時:2022年12月27日 23時