【銀魂】浮世夢のあなた

10. ページ11

　
　





暑い日が続く。
俺はあの日彼女と出会ったあの場所で足を止めた。


　






「何してんでィ?」


　






背後からの気怠い声は確かに覚えがあって、振り向けば栗色頭の少年が立っている。



　






「総一郎くんは見回り?」

「総悟でさァ」

「土方くんは一緒じゃねぇの?」

「土方さんは死にやした」




　





真選組副長の座を狙っている一番隊隊長・沖田総悟。
これは冗談と言うより本音である。



　






「それで? 旦那は何してたんで」

「別に何もしてねぇよ」

「...此処、よく絵描きのお姉さんが居る所ですよね」

「...知ってんの?」


　






沖田は肩を竦めてとぼけた顔をする。






此奴、分かってて言ってんな。


　







「話し掛けた事はねぇですけど、土方さんは知り合いみてぇですぜ」



　





そんな事どうでもいいはずなのに、其奴はそう言ってニヤッと笑う。
明らかに喧嘩を売っている。
暇潰しに買ってやっても良いのだが、やめておいた。



　







「あそ」

「ありゃ? 興味無さげですかィ?」

「生憎、お宅の副長の交流関係なんて心底どーーーでも良い」

「それもそうか」


　







つまらなそうに口を尖らせる沖田に踵を返し背を向けた。



あの場所を見ていた理由なんて特にない。
ただ、気付けば彼奴を探している。




　








「(今日は何処で、何を見てるんだろうな)」













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