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『お祭り?』
「縁日だ」
『違うの?』
「正確にはな」
Aは読んでいた本から顔を上げた。
普段なら艦の中を歩いているのだが、今日は珍しく読書をしていた。
そういえばここ数日は『見っけ』と俺を探す事が減った気がする。
「御前も来るかァ? A」
『行っても良いの?』
「嗚呼」
『やった』
パタン、と呼んでいた本を閉じ顔を綻ばせる彼女は『外は好き』と言う。
何故かと理由を聞けば、隠れん坊は広いところでするものだと説明した。
何ともAらしい理由だと思う。
「縁日にも隠れん坊か」
『嫌?』
「鬼は御前だろ」
『晋助が鬼になってくれるの?』
「......」
『見付けたら林檎飴を買ってね』
何も言わないで居るとそんな強請りをされる。
何故いつも食べ物ばかりなのかは知らないが相当食いしん坊なのだろう、深く聞くのも面倒なのでそういうことにしておく。
『楽しみ』
『綺麗な着物を着よう』
彼女はそう言うと軽い足取りで部屋を出て行った。
片付けもせず置いていかれた本の元へ行き、手に持つと古い本なのか題名は霞んで読めそうにない。
パラパラとページを捲れば古い香りがしたがこの匂いは嫌いじゃない。
「......ページが抜けてやがらァ」
ちぎられた様な痕があるその本にこの時は大して興味を抱かなかった。
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アカツキ(プロフ) - 紅さん» コメント有難うございます。そんなに長くならずに完結すると思いますがもう少し付き合いくださいませ (2021年3月29日 18時) (レス) id: 716f2c046c (このIDを非表示/違反報告)
紅(プロフ) - 応援してます!!更新待ってます! (2021年3月29日 13時) (レス) id: b08ab2dbca (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - 東雲 晄さん» 東雲さん、お久しぶりです。前作に続きコメント有難うございます。高杉落ちは毎度暗い感じになりがちですが、雰囲気を楽しんでもらえればと思います...! 見守ってくださると嬉しいです (2021年3月25日 18時) (レス) id: 6533fa6fd3 (このIDを非表示/違反報告)
東雲 晄(プロフ) - お久しぶりです!前作から来ました!晋助夢ありがとうございます!続き楽しみにしてます! (2021年3月25日 17時) (レス) id: 91bd77f472 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アカツキ | 作成日時:2021年3月25日 0時