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風に仰がれ女の髪が靡く。
いつもは纏めあげているそれが首元に当たるのがむず痒いのか、Aは片耳にその髪を掛けた。



時刻は14時45分。
約束の時間の15分前である。




 
 
 

『すみません、お団子ください』



 
 
 


店内に居る店員にそう告げ、外の椅子に腰掛ける。
「おい」と頭の上から降ってくる声にAは顔を上げたが、太陽の光に照らされ目を細めた。



声を掛けた張本人である土方は彼女のその顔に「ははっ」と笑う。

 
 







「何頼んだんだ?」

『お団子を』

「俺もそうする」

 
 
 





先程の彼女と同じように、土方は店内に顔を覗き込ませ注文をする。



その間、Aは太陽の方向をぼんやり眺めていた。





 
 
 

「何見てんだ」


 
 
 




戻ってきた土方はそう問う。
その質問に彼女は両手で頬杖をし、柔らかい笑みを浮かべた。

 
 
 
 




『んー…? さっきの土方さん、太陽の光を背中に背負って』
『神様みたいだったなぁ、って』



「......そりゃまた随分大層な人物に見間違えたもんだな」
「ンな目付きの悪い神様が居てたまるかよ」




『ふふ、目付き悪いって自覚あるんですか?』
『大袈裟なくらいで良いんですよ』



 
 
 




運ばれてきた団子を1つ頬張り満足そうに笑うAに土方は思わず顔を緩める。


己も食そうと、マイマヨネーズを取り出して勢いよくその団子にぶっ掛けた。
それは土方を知る人物にとってはもう見慣れた光景である。




 
 



『......美味しいですか?』

「食うか?」

『要らないです』



 
 
 


重度のマヨラーである彼は、団子を咀嚼しながら串に刺さったそれを差し出したが、Aは間髪入れずに断った。


本当なら外ではやらないで欲しいというのが彼女の本音ではあるのだが、土方はAの作る料理にはここまでマヨネーズを掛けたりしない。


それは彼なりのAへの配慮であり、敬意なのかもしれないが。
だからこそ、我慢してもらってる分、あまり強く言えないのだ。

 
 
 




「ん?」

『...マヨネーズ、付いてますよ』

「ぁ、」


 
 
 




指摘され口端に付いたマヨネーズを拭う土方に、彼女も『(まぁいいか、美味しそうに食べてるし)』と、そう思うのだった。





 
 
 



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アカツキ(プロフ) - -sara-さん» 此方の作品も読んで下さり、そしてコメントまで有難うございます。夢主ちゃんは皆様のご想像の中で存在して欲しいので詳しく設定等は記載しないのですが、sara様の頭に夢主ちゃんが浮かんでくれて嬉しいです! お褒め頂き光栄です、有難うございます (2021年8月16日 8時) (レス) id: 2cb0f29e5d (このIDを非表示/違反報告)
-sara-(プロフ) - こちらにも、こんばんはm(*_ _)mどうやら、私はアカツキ様の土方さんが大好きな様です(笑)元々好きではありましたが、素敵すぎます!あと、ヒロインちゃんも凄く好きです!なんか、映像として頭に浮かんできちゃいます。最後の「猛獣使い」が個人的に大好きです! (2021年8月16日 3時) (レス) id: 7c2d2afbf6 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - あめちゃんさん» コメント有難うございます、無事完結する事が出来てホッとしています。久々に土方落ちを書いた気がしますが、なかなかに楽しかったのでまたいつか出したいですね。応援有難うございました (2021年2月16日 16時) (レス) id: adf8f89573 (このIDを非表示/違反報告)
あめちゃん(プロフ) - アカツキさん» 完結おめでとうございます!!土方さんの良さがすっごいよく表現されていて、いつも読む手が止まりませんでした。私の作品も読んでいてくださりありがとうございます!こちらも頑張ります!改めて、完結おめでとうございます。 (2021年2月16日 15時) (レス) id: beda8b3808 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - 東雲 晄さん» コメント有難うございます、途中文章ミスがあり申し訳ありませんでした... ご指摘有難うございました。またご縁がありましたら作品を読んで頂けると嬉しいです (2021年2月16日 7時) (レス) id: 3bd9d4536b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アカツキ | 作成日時:2021年1月25日 23時

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