【銀魂】その男、獣につき

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「はぁ?! 既婚者ァ?!」

「旦那......!! 声が大きいですって...!!」

「聞いてねぇぞ」

「一応シークレットなんで......」


　
　
　
　



普段の気怠い表情とはうって変わり、銀時はさも信じられないとでも言いたげな顔をした。

というのも、沖田の言う「姉御」というのは土方の奥さんの事だと言うのだ。




　
　
　
　

「クソ、彼奴に先越されてたとか、何かムカつくわ」
「せめてその奥さんがブスで在れ」



「残念ですが、ブスではねぇでさァ」
「土方にゃ勿体ないくれぇで」



「そうですよ、旦那」
「副長に物申せるのAさんくらいですし」




　
　
　
　



「「「ぁ」」」と3人の声が重なる。
瞬間、山崎は青ざめ、沖田は呆れ、銀時はニィと嫌に笑った。

　
　
　
　





「へぇ〜、"A"って言うんだ〜」

「あぁぁぁぁ!! 忘れてください忘れてください...!!」

「いやいや、ジミーくんそれは無理あるでしょ」





　
　
　
　

先程まで「ブスで在れ」だの失礼極まりない事を言っていた銀時だったが今はいい事を聞いたと悪戯に笑う。




　
　
　
　
　


「まぁバレちゃ仕方ねぇでさァ」
「それに俺は案外旦那の事信用してるんですぜ?」


　
　
　
　





確かに、真選組と万事屋は仲がいいとは決して言い難いがそれなりに交流はあり身元だってお互いはっきりしている。


一番隊隊長にそんな事を言われては銀時は思わず口を噤んだ。
「案外」などと言う台詞は余計だが人の事を言える立場でもない。

　
　
　
　






「尻に敷かれる土方くんってのも良いネタになると思ったんだけどなァ」



　
　
　






ガシガシと頭を掻いて立ち上がった銀時はその場を去った。
同じく沖田も団子の串を皿に置くと刀を腰に挿し直し巡回へと戻って行く。

　
　
　

その場に取り残された山崎が2人の食した団子代を店主に請求されるのはこの数秒後の話。









　
　
　


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