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「おい、そこで寝んな」
女はすっかり寝てしまっていた。
机の上には料理の数々が乗っていたであろう食器だけがそこに残っている。
『ん〜...もう食べられな、い』
「寝惚けてんじゃねぇ」
『......z』
高杉は本日何度目か分からない溜息を吐いた。
机に突っ伏す形で寝落ちるAに自室からブランケットを持ってきて肩からかけてやる。
今日はもう起きそうにないと判断したのか、そのまま放置し空になった食器を片付け始めた。
あまり音を立てないように気を使いながら、カチャカチャと皿を纏めシンクへと運ぶ。
水で洗い流し洗剤を付けたスポンジで汚れた皿を綺麗にしながら未だぐっすり眠る彼女の方を見た。
「酒、弱くなったな...」
疲れていたとは言え、お腹が満たされ数杯しか飲んでいないアルコールを体に流し込めば寝てしまうなんて、子供かよ...と呆れる。
全ての片付けを終え、Aの側へと寄った。
胡座をかく様に座り、顔に掛かっている彼女の髪をそっと退かす。
「...なァ、もう十分だろ」
誰も聞いては居ないのだが、高杉は独り言を続けた。
「いい加減、此方を見ろ」
彼女は起きない。
すぅすぅ、と規則正しい寝息が聞こえている。
退かした髪から露わになる色白い肌をした彼女の頬に触れた。
「...先生はもう居ねェ」
死んだ人間には敵わない。
高杉は自嘲し、触れていた手を引っ込めた。
「(俺が御前の面倒を見るのは、先生に言われたからなんかじゃねェ)」
それだけは口に出さなかった。
高杉は立ち上がり、彼女を抱きかかえて自室の布団へと移しに行った。
『晋、すけ』
微かに聞こえた声に起こしてしまったかと腕の中に居るAを見たが、どうやら寝言のようだった。
「......期待させんじゃねぇよ、馬鹿が」
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アカツキ(プロフ) - 美咲さん» 初めまして、コメント有難うございます。書きたいと思い続けて数年経った医者パロなのでかなり自己満ながらドキドキしつつ書いています。更新速度は気紛れですがお楽しみ頂ければ幸いです (2020年10月17日 21時) (レス) id: cb25f868cb (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - 今、私が求めていた医者パロを、ありがとうごさいます!更新頑張ってください! (2020年10月17日 18時) (レス) id: 5f3a224cad (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - Sakuraさん» 今回も早速のコメント有難うございます、お待たせしました...! 何度も考えつつ知識が無いので書かずにいた医者パロ... 不慣れですが温かい目で見守っていただければと思います。よろしくお願いします (2020年10月15日 22時) (レス) id: 5f592be880 (このIDを非表示/違反報告)
Sakura(プロフ) - 新作待ってました…!!!!!病院舞台とか私得でしかないです笑 更新頑張ってください! (2020年10月15日 22時) (レス) id: 321ab1938b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アカツキ | 作成日時:2020年10月15日 22時