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町内の掲示板、そこには「この顔にピンときたら此方迄」という文句と共に片目を包帯で覆った如何にも極悪人面の男が写ったチラシが貼ってある。
『うーん、"彼"はもう少し男前だけど』
首を傾げながら顎に指を置き、Aは不服そうに呟いた。
「フラフラすんな、置いてくぞ」
『こんな日中に吸血鬼を活動させるなんて、鬼の所業だよ』
「馬鹿野郎、働かざる者食うべからずだ」
『仕事なんて無い癖に』
深いフードを被っているとはいえ、やはり太陽の光はしんどいものがある。
銀時はそんな彼女に日傘で影を作ってやり、彼女が見ていた掲示板に目を向けた。
『気になる?』
「別に〜」
『私は気になるけど』
「それ絶対真選組の奴らに聞かれんなよ、面倒だから」
銀時の言う"真選組"は江戸の所謂警察組織なのだが、何の因果か、何かしら関わりがある。
「俺たちに聞かれて何か不味い事があんのか?」
そして今回もまた、狙ったかのように絶妙なタイミングで現れるのだ。
『土方くん、土方くん、この写真写り悪いね』
「ぁ? 」
『これしか無いの?』
「写り良いも悪いも、指名手配の写真をよく写してどうすんだよ」
ポケットから煙草とライターを取り出して呆れながら火を付ける男は真選組副長の土方十四郎である。
そしてそんな土方の横でくちゃくちゃ音を鳴らしながら器用に風船ガムを作っているのが真選組一番隊隊長、沖田総悟。
「......で? 俺たちに言えねぇ事ってのは何だ」
「うっわ、まだ言ってんの? 執拗いよ」
「仕事なんでな」
深い溜息を吐き出す銀時はどうこの場を切り抜けようか考えていた。
土方相手に下手な嘘が通用するとも思わない。
『ねぇ、南の方から血の匂いがするよ? 怪我人かな』
「はぁ? ......本当だろうな?」
『それを確認するのはお巡りさんの仕事』
一つ舌打ちをした土方は踵を返しAの言う南方面へと踵を返す。
「流石"吸血鬼"、血の匂いに敏感ですねィ」
「それより行かねぇの? またマヨラーがうるせぇぞ」
「総悟ォ!! 何してんだ!! 早く来い!!」
ほら、と言わんばかりにある程度の距離のせいで小さくなった土方を指さす。
心底嫌そうな顔をする沖田は仕方なしその場を後にした。
『お仕事頑張ってね』
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アカツキ(プロフ) - 美姫さん» コメント嬉しいので大丈夫ですよ、ありがとうございます。此方の作品も完結の目処が経ちましたので最後まで楽しんでいただければと思います、応援ありがとうございました (2022年4月13日 7時) (レス) id: 0c162c5444 (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - さいっっっっこうです!!何度もコメントしてしまい申し訳ありません。もう日々の楽しみとなってます!昔の作品も読み返しているところですが、本当にどの作品も面白いです。無理しない程度に頑張ってください!本当に応援してます! (2022年4月13日 4時) (レス) @page30 id: 5e34f22924 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - 美姫さん» 初めまして、温かなコメント有難うございます。そろそろ完結に向けて動き出しますので見守ってくださると嬉しいです。終わり次第また新作も出す予定ですのでお時間ありましたらまた是非読みに来てください (2022年4月9日 0時) (レス) id: 5f592be880 (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - アカツキさんの小説本当に大好きです。これからも応援しています!頑張ってください! (2022年4月8日 16時) (レス) id: ac5aee6225 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - RIOさん» コメント有難うございます、読んで下さり嬉しいです。更新遅れ気味で申し訳ありません...またぼちぼち更新しますのでこれからもよろしくお願いします (2022年4月6日 16時) (レス) id: 9759a783ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アカツキ | 作成日時:2022年3月8日 23時