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ガリッ、
「痛ッ...」
嫌な痛みはじわりと口内を鉄の味で満たした。
Aの歯が銀時の舌を傷付け出血させる。
唾液だか血だかが混ざり合うのもお構いなしに彼女はその血を味わった。
離れた口からは、ツ......と銀色の細い糸が繋がって伸びていたがそれもプツリ切れた。
『...銀時の血が一番美味しいよ』
「そうかよ」
『誰にもあげない』
「心配しなくても"あの時"から俺はお前のもんだろ」
そうだった。
Aは嬉しそうに笑ったが銀時は顔を顰めもごもごと口を動かした。
「つか、早く止血してくんない?」
「口ん中血塗れなんだけど」
べ、と口の中を見せる彼にAは体中がゾクゾクと痺れるのを感じて『はぁ、』と熱の篭った息を吐き出した。
『(堪んないなぁ...)』
もう一度口付けと共に吸血をし、傷をひと舐め。
そしてまたゆっくり離れる。
『ねぇ、好きだよ、』
「はいはい、俺の血がな」
『血もだけど、銀時の事も好き』
抱き着くように首筋に顔を埋めるAはいつものように歯を立ててかぶりつくことは無く、銀時は「どうしたんだよ」なんて優しく聞いた。
『人間は口にしないと伝わらないんでしょ?』
「......吸血鬼は言わなくても伝わるの?」
Aは首を振る。
「…そか、俺もちゃんと好きだよ」
『知ってる』
「あ"ッ?! てめ、コノヤロー!! 嵌めたな?!」
『あはっ』
銀時の腕がAを抱き締め返す...、というより締め付けるに近かったが、彼女は子供のように声を出して笑った。
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アカツキ(プロフ) - 美姫さん» コメント嬉しいので大丈夫ですよ、ありがとうございます。此方の作品も完結の目処が経ちましたので最後まで楽しんでいただければと思います、応援ありがとうございました (2022年4月13日 7時) (レス) id: 0c162c5444 (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - さいっっっっこうです!!何度もコメントしてしまい申し訳ありません。もう日々の楽しみとなってます!昔の作品も読み返しているところですが、本当にどの作品も面白いです。無理しない程度に頑張ってください!本当に応援してます! (2022年4月13日 4時) (レス) @page30 id: 5e34f22924 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - 美姫さん» 初めまして、温かなコメント有難うございます。そろそろ完結に向けて動き出しますので見守ってくださると嬉しいです。終わり次第また新作も出す予定ですのでお時間ありましたらまた是非読みに来てください (2022年4月9日 0時) (レス) id: 5f592be880 (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - アカツキさんの小説本当に大好きです。これからも応援しています!頑張ってください! (2022年4月8日 16時) (レス) id: ac5aee6225 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - RIOさん» コメント有難うございます、読んで下さり嬉しいです。更新遅れ気味で申し訳ありません...またぼちぼち更新しますのでこれからもよろしくお願いします (2022年4月6日 16時) (レス) id: 9759a783ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アカツキ | 作成日時:2022年3月8日 23時