26. ページ26
後は軽く時間を潰すだけとなったAだが、この吉原、昔こそ日の当たらない場所とされてきたが今ではすっかり空が広がっている。
『ちくしょう...私に安楽の地は無いのか』
「何やっとるんじゃ、A」
フラフラと行く宛てなく歩いて居ると煙管の香りと共にそんな声が聞こえた。
吉原では知らない人は居ない。
百華の頭、月詠だった。
『休憩出来る場所を探してるの、何処かある?』
「何だ、水臭い、それならウチに来なんし」
『良いの? 助かるよ』
神威と居たことは特に告げず、数時間程潰せれば良いと伝えた。
「丁度銀時達に依頼をしててな、奴らも居るぞ」
『げ...、今日の依頼って吉原だったのか』
「なんじゃ? 都合が悪いのか?」
『そうじゃないけど、何も言わずに出て来てるから...』
きっとドヤされるだろうと想像し、嫌な顔をするAに月詠は笑う。
「なに、わっちが呼んだ事にすれば良い」
そうしたいのは山々だが、神威を放置してきた手前嘘を吐くのは後々厄介なことになりそうだと考えたAは渋々断った。
とても魅力的な提案ではあるのだが。
そうこう話している内に目的地に着き案内される。
そこは休憩所と言うよりは"大人のお店"である。
「あれ?! A姉ちゃん!! いらっしゃい」
『晴太、元気そうだね、しっかり働いてる?』
「勿論!! A姉ちゃんは何か欲しいものでもあるの?」
晴太はまだ子供でありながらその"大人の店"の番をしていて、あれやこれやと勧めてきた。
Aは丁重に断ったが、そんな彼女を1つの影が覆う。
「銀さん的に、Aにはこれが良いと思うんだけど」
振り返るとそこにはいつもの死んだ魚の目をした銀時が晴太の持つ商品の1つを指さしていた。
しまった。
『ぎ、銀時...... お仕事お疲れ様......』
「で? Aちゃんは此処に何の用だったのかな?」
月詠に助けを求めようと視線を送ったが、その彼女は首を振り「諦めろ」とジェスチャーしていた。
---
255人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アカツキ(プロフ) - 美姫さん» コメント嬉しいので大丈夫ですよ、ありがとうございます。此方の作品も完結の目処が経ちましたので最後まで楽しんでいただければと思います、応援ありがとうございました (2022年4月13日 7時) (レス) id: 0c162c5444 (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - さいっっっっこうです!!何度もコメントしてしまい申し訳ありません。もう日々の楽しみとなってます!昔の作品も読み返しているところですが、本当にどの作品も面白いです。無理しない程度に頑張ってください!本当に応援してます! (2022年4月13日 4時) (レス) @page30 id: 5e34f22924 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - 美姫さん» 初めまして、温かなコメント有難うございます。そろそろ完結に向けて動き出しますので見守ってくださると嬉しいです。終わり次第また新作も出す予定ですのでお時間ありましたらまた是非読みに来てください (2022年4月9日 0時) (レス) id: 5f592be880 (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - アカツキさんの小説本当に大好きです。これからも応援しています!頑張ってください! (2022年4月8日 16時) (レス) id: ac5aee6225 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - RIOさん» コメント有難うございます、読んで下さり嬉しいです。更新遅れ気味で申し訳ありません...またぼちぼち更新しますのでこれからもよろしくお願いします (2022年4月6日 16時) (レス) id: 9759a783ba (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:アカツキ | 作成日時:2022年3月8日 23時