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『さて、帰ろう』
宿の主人に見送られ、外に出たAはグッと大きく体を伸ばした。
夜のかぶき町は活動時間でもあったが寄り道すること無く万事屋へと足を向けた。
背後からの車のヘッドライトと「おい、」と声が聞こえ振り返る。
運転席の窓から軽く身を乗り出している人物は土方だった。
「A......っておい!! なんだその血は?!」
パトカーを脇に停め降りて来た土方はギョッとした顔をする。
『あ』
「おいおい、一般市民に手出してねぇだろうな...事によっちゃ連行すんぞ」
『失礼な、親切な知り合いに血を分けてもらったの』
「はぁ、まぁいい、乗れ」
『いや本当に知り合いなんだって!!』
「違ェよ、送っていくから乗れってんだ」
そう言われ断ろうとするも、乗り込み際に鋭く睨まれてしまえば大人しく従う他ない。
こんな事なら今晩は高杉の元に居れば良かったなど、今更思っても遅いし、ましてや土方の前では口が裂けても言える事では無かった。
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パトカーの中は土方が吸っているであろう煙草の匂いがする。
別に嫌という訳ではなかったが、Aは窓を開け夜風に当たった。
「こんな夜に何処に行ってたんだ?」
『秘密、...それに今は私の活動時間だよ』
土方は一瞬目線だけをAに向けたが直ぐに前を見直した。
それ以上の詮索はしてこないらしい。
『土方くんこそ、珍しいね。パトカーで見回りなんて』
「まぁな」
『ねぇ、私も見回りする』
「はぁ?」
『だから送ってくれるのは最後にしてよ』
帰りたくない、とかではなく。
何なら帰るつもりで居たのだが...、ただ何となくこのまま土方とドライブするのも悪くないとそう思ったのだ。
彼は何か考える素振りをした後「分かった」と了承してくれた。
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アカツキ(プロフ) - 美姫さん» コメント嬉しいので大丈夫ですよ、ありがとうございます。此方の作品も完結の目処が経ちましたので最後まで楽しんでいただければと思います、応援ありがとうございました (2022年4月13日 7時) (レス) id: 0c162c5444 (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - さいっっっっこうです!!何度もコメントしてしまい申し訳ありません。もう日々の楽しみとなってます!昔の作品も読み返しているところですが、本当にどの作品も面白いです。無理しない程度に頑張ってください!本当に応援してます! (2022年4月13日 4時) (レス) @page30 id: 5e34f22924 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - 美姫さん» 初めまして、温かなコメント有難うございます。そろそろ完結に向けて動き出しますので見守ってくださると嬉しいです。終わり次第また新作も出す予定ですのでお時間ありましたらまた是非読みに来てください (2022年4月9日 0時) (レス) id: 5f592be880 (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - アカツキさんの小説本当に大好きです。これからも応援しています!頑張ってください! (2022年4月8日 16時) (レス) id: ac5aee6225 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - RIOさん» コメント有難うございます、読んで下さり嬉しいです。更新遅れ気味で申し訳ありません...またぼちぼち更新しますのでこれからもよろしくお願いします (2022年4月6日 16時) (レス) id: 9759a783ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アカツキ | 作成日時:2022年3月8日 23時