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男子とプリクラを撮るのなんていつぶりだろう。
中学生の時に複数で撮ったことはあるけれど、そもそも一対一って初めてなんじゃないかと思って、ちょっとだけドキッとしてしまった。
もう高校生なのに、十八歳なのに、なんだか男子中学生みたいなことを考えてはいないか。
そんなことを考えてしまったせいで、グリーンの筐体が広いような狭いような、妙な感覚に襲われた。
夜久との正しい距離感がわからなくなって、ただちょっとかわい子ぶった高い機械の声に合わせて距離を詰めたら、どう考えても友達同士の距離とは違う。近すぎる。
プリクラってこんなに顔を寄せるものだっけ、いや夜久が可愛くなりすぎないためにカップルモードを選んだのが悪かったのだろうか、でも結局何が正解なのか。
ちかちか光る画面に女子校生活で染みついてしまった上目遣いを無意識のうちに送りながら、わたしの中でぐるぐると渦巻く疑問に蹂躙された。
「後ろ下がれって、ほら」
「へっ」
急に後ろから腕を引かれて、一歩後ずさる。
その声にハッと我に返れば、プリクラは後ろの線まで下がるように指示を出していて。
慌てて後ろに下がって背面の緑に背中をぶつければ、画面に映るわたしたちの制服がよく見えた。
落書き、と言っても何を書けばいいかわからない。
普段友人に適当に書いてもらっているから、どうしようか悩んで、ただ適当にスタンプを押していく。
隣をちらりと見れば、夜久が全身写ったやつに、大胆な字で「夏服最後！」なんて書いていた。
わたしのださいワンピースと、夜久の半袖のシャツ。
ああこれは最後なんだ、と改めて思うと、短い袖が、丸い襟が、薄手の感触が、この夏服が、急に愛おしく思えてくる。
手元を見つめた。胸元から上で切り取られているわたしたちの距離は、やっぱり思ったよりも近い。
きっと他意はない。ないのだけれど、ああこのまま好きになってしまったらどうだろう、なんて反実仮想に思いを巡らせてしまって。
だから考えることが中学生じみている。思春期入りたてかよ。
うーんとあげた唸り声は、夜久にも聞こえていたらしい。
やっぱり距離の近い落書きブースの中で、夜久がわたしを呼んだ。
「A？」
呼ばれ慣れたそれが、何か魔法のようなものを帯びているような気がして。
「なんでもないよ」
ただ誤魔化して、フレームの下に今日の日付を書いた。夏服最後の日だ。
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＠でに(プロフ) - 恋すてふ制服 とてもおもしろかったです……きゅんきゅんしました！ (2020年4月24日 17時) (
レス) id: c5f18c8481 (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - 華ノ子さん» コメントありがとうございます。一年以上経ってしまいましたが、本日追加いたしましたのでご覧いただけたら嬉しいです。 (2020年4月23日 23時) (レス) id: b56c38f9b7 (このIDを非表示/違反報告)
ティラミルク(プロフ) - 何回読んでも大好きです。 (2019年10月28日 19時) (レス) id: 936ff86ce1 (このIDを非表示/違反報告)
花籠(プロフ) - めっちゃ面白かったです！！エモエモでした！短編なのに一本の愛がをみた気分になりました！お疲れ様です。 (2019年10月24日 18時) (レス) id: 270ba45bd9 (このIDを非表示/違反報告)
華ノ子(プロフ) - おもしろかったです。制服最後の日の物語はありますか…？ (2019年1月17日 1時) (レス) id: ed7dadd27f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛
| 作者ホームページ：https://twitter.com/pp__synd
作成日時：2018年12月26日 12時
