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どうしてそんなことを言ってしまったのかは分からない。
だって、夜久はこれをデートだと言うし、わたしは気を抜いたらなんて思っているけれど、わたしたちはただの中学までの同級生で、別段親しいわけでもなかった。
ただ時折話をするだけのわたしたちが、デートだなんて。
「いいんだ」
「……うん、」
淡すぎる気持ちは、淡すぎる束縛を彼に課そうとしている。
それはつまり、わたしとデートしたからにはわたしを放置するなという呪縛。
わたしの受験が終わるまで、彼をわたしに繋ぎ止めておこうとするようなもの。
わたしの淡すぎる気持ちに比例するように、その桎梏はあまりにも心もとないものだったけれど。
「じゃあ、デートにしよう」
その夜久の言葉に、わたしは鎖をつけられた。
どうせ女子校だから浮いた話などそう舞い込んでくるものではないけれど、それでも、わたしも彼に淡い束縛を食らったような、そんな気がした。
「……ねえ夜久」
「ん？」
「最後に制服着るの、いつ？ 卒業式？」
唐突に投げた質問に、夜久の目が見開かれた。
それから少し考えるような時間があった後、そうだな、と頷いた。
「Aは？」
「えっと……国立の後期指導あるし、六日くらいかな」
「そっか」
夏服最後の日は同じらしいが、制服最後の日はずれるみたい。
肩を落としたわたしに、夜久がなんでそんなことを、と聞く。
「制服最後の日に、もう一回デートしたいなって思った」
「なんだそれ、エモってやつだ」
「かもね……でも、日にち違った」
へへ、と笑ったわたしを見て、夜久は足元の波を軽く蹴った。
ぱしゃりと音を立てて跳ねた水は、わたしの脛を濡らす。
「いいじゃん、お前の後期指導が終わる日、俺も制服着て付き合ってやるよ」
「えっ」
思わず夜久の方を見たら、夜久は穏やかな微笑みをたたえてわたしを見ていた。
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＠でに(プロフ) - 恋すてふ制服 とてもおもしろかったです……きゅんきゅんしました！ (2020年4月24日 17時) (
レス) id: c5f18c8481 (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - 華ノ子さん» コメントありがとうございます。一年以上経ってしまいましたが、本日追加いたしましたのでご覧いただけたら嬉しいです。 (2020年4月23日 23時) (レス) id: b56c38f9b7 (このIDを非表示/違反報告)
ティラミルク(プロフ) - 何回読んでも大好きです。 (2019年10月28日 19時) (レス) id: 936ff86ce1 (このIDを非表示/違反報告)
花籠(プロフ) - めっちゃ面白かったです！！エモエモでした！短編なのに一本の愛がをみた気分になりました！お疲れ様です。 (2019年10月24日 18時) (レス) id: 270ba45bd9 (このIDを非表示/違反報告)
華ノ子(プロフ) - おもしろかったです。制服最後の日の物語はありますか…？ (2019年1月17日 1時) (レス) id: ed7dadd27f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛
| 作者ホームページ：https://twitter.com/pp__synd
作成日時：2018年12月26日 12時
