四十五 ページ46
言い訳を塗り重ねる山崎さんをよそに、バズーカを手放した隊長さんは抜刀し、先ほどから放置されていた侍たちを次々と切り倒していった。
たった一二度瞬きをする。そのくらいの間の出来事である。
吹きあがる血しぶきを浴びた彼の瞳は、怪しく闇夜の中で光っていた。
およそその年齢に似合わない、獰猛な殺気を放つ少年だ。
ことごとく無下に扱われる山崎さんは、その後ろでため息を吐く。
「隊長。彼女まで巻き込んだら作戦の意味自体がなくなるんですよ。ほんと打ち合わせどうりに動いてくださいよ...。」
「誰に物言ってんでィ。てめーの仕事が遅いからだろ。」
刀に付着した血を振り払い、刃を鞘に収める。
一連の動作においてかなりの剣の使い手であることが、素人の私でも感じることができた。
「で、そいつが例の女ですかィ。」
じりじりと詰め寄ってくる少年に恐怖心を隠せない私は、数歩後ずさる。
頬にべったりと血を付けた状態でニヒルな笑みを浮かべられては、はじめましてなんてとても言いづらい。
品定めでもする様に上下する視線。
「へぇ、高杉の野郎はこーゆーのが好み...ねぇ。」
少年はそうぼそりと呟くと、伸ばした手で私の顎を持ち上げた。
「やっやめてください。」
抵抗したい気は山々だったけれど、別の事に神経を集中させていたせいで思うように手を振り払えない。
だってどうしても、彼の頬についた血が、....
味しそうで。
――――駄目だ。
今ここで舐めとってしまいたい。
「やめてって言う割にはあんた、まんざらでもなさそうな顔してまさァ。」
「ちょっ隊長!」
止めに入った山崎さんのお蔭で、何とか少年から解放される。
あの獲物をかみ殺すような目に見つめられると、息が出来なくなるのだ。
彼は、苦手だ。
「まあ詳しい話は帰ってから聞くんで、覚悟しといて下せェ。」
と言うと、彼は胸ポケットから手錠を取出し、問答無用で私の両手に取りつけた。
ガチャリと無情な音がする。
「...え?」
「一応あんた保護って名目んなってやすけど、ほとんど逮捕みたいなもんなんで。大人しくしててくだせェ。」
「話がちがっ」
反論する私の口を少年は片手て押さえつける。
強制的に黙らされたかと思えば、今度は耳元でこう囁いた。
「大人しくしてろっつったんでィ。聞こえなかったか?」
青ざめる山崎さんを横目に、警察・地球という二文字に何処か安心していた自分を恨んだ。
結局何処へ行ったって状況は変わらない。
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沖神 - そ…そうですかw…ごめんなさいw (2017年8月16日 1時) (レス) id: 3e81e6a0f7 (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - 沖神さん» ......む、無料....ですよ! (2017年8月12日 11時) (レス) id: d0946bab96 (このIDを非表示/違反報告)
沖神 - これって有料じゃないです…よ…ね?………… (2017年8月12日 2時) (レス) id: 3e81e6a0f7 (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - あかあしえいたくんさん» ご感想お寄せいただきすごくすごくうれしいです...。こちらこそ、ぜひ応援よろしくお願いいたします。コメントありがとうございました。 (2017年7月13日 0時) (レス) id: 5bb7c4f37e (このIDを非表示/違反報告)
あかあしえいたくん(プロフ) - 高杉すごいドキドキします!すごくすごくおもしろいです!これからもがんばってください!ぜひ、応援させてください! (2017年7月10日 14時) (レス) id: 04caca4bb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しののめ | 作者ホームページ:http://nanos.jp/aoikasou/
作成日時:2017年5月14日 20時