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それから高杉さんは、よく私のところに顔を出してくれるようになった。
たまに小豆色の着物を着た細い女性が、食事の乗った盆を運んでくる。
三度のうちの一度は、高杉さんがその盆を手に状のかかった扉を開けてくれるのだ。
「おはようございます、高杉さん。」
今が何時かなんてわからない。
ただ、眠れもしないくせに今まで私はずっと横になっていて、なんだか朝のような気がしたからおはようございますと挨拶をした。
すると高杉さんは、ただぶっきらぼうに「ああ。」とだけ返事をよこす。
扉を開けた直後の高杉さんは、その目をさらにすっと細めて、なんとも形容しがたい表情で私を見下ろした。
そして何も言わずに食事を手渡す。
けれど私は一口もそれを食べることができずに、毎回それを彼に突き返す。
ここに来てから一度も食べ物を口にしていない。一睡もしていない。
「相変わらず、駄目か。」
「すみません。高杉さん。」
謝る私をやや不快そうな表情で見つめる高杉さんは、ぽつりと「また、痩せたな。」とだけ言った。
「そう、なんですか。」
「ああ。....何かあれば、すぐに壊れちまいそうだ。」
「私にはわからないです。今自分がどんな顔をしているのか。」
高杉さんの瞳の中に移る私はどんななのだろう。
ふいに、興味がわく。
「そうだ高杉さん。私に、鏡をください。」
「んなもん貰ってどうするつもりだ。」
「別に脱走に使おうっていうんじゃないですよ。ただ、気になっただけです。」
それに私は仮にも女だ。
自分の身なり位どうにかしたい。
「あと何か暇をつぶせるものはありませんか。もう、退屈で退屈で。」
「今日は随分と欲張るじゃねえか。」
「この部屋の景色に、飽きちゃったんです。」
言い返されないところを見ると、今のおねだりはダメではないらしい。
ならばあともう一つも、かなえてもらえるだろうか。
「それと、高杉さん。あなたのことを思い出すためには、もっとあなたのことを知らなければいけないと思うんです。もっと話さなければいけないと思います。だからこうして食事を運んでいただくついでに、何かお話しませんか。」
私は、高杉さんのことが知りたい。
「早く思い出して、さっさと出ていきたいか？」
「そうじゃ、ないです。」
出て行っても、外に行ったって私を待っていてくれる人がいるかはわからないじゃない。
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沖神 - そ…そうですかw…ごめんなさいw (2017年8月16日 1時) (
レス) id: 3e81e6a0f7 (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - 沖神さん» ......む、無料....ですよ！ (2017年8月12日 11時) (レス) id: d0946bab96 (このIDを非表示/違反報告)
沖神 - これって有料じゃないです…よ…ね？………… (2017年8月12日 2時) (レス) id: 3e81e6a0f7 (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - あかあしえいたくんさん» ご感想お寄せいただきすごくすごくうれしいです...。こちらこそ、ぜひ応援よろしくお願いいたします。コメントありがとうございました。 (2017年7月13日 0時) (レス) id: 5bb7c4f37e (このIDを非表示/違反報告)
あかあしえいたくん(プロフ) - 高杉すごいドキドキします！すごくすごくおもしろいです！これからもがんばってください！ぜひ、応援させてください！ (2017年7月10日 14時) (レス) id: 04caca4bb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しののめ | 作者ホームページ：http://nanos.jp/aoikasou/
作成日時：2017年5月14日 20時
