三十一 ページ31
「で、やつの何が聞きてーの?」
俺の財布から出た金で団子を頬張りながら尋ねてくるその声には、全く意欲を感じられなかった。
国民の血税を子供からまきあげるとは流石としか言いようがない。
「いや大したことじゃねぇんで。ただちいと気になりやしてね。...高杉ってのは女遊びのために自分の隊を動かしちまうような男ですかィ?」
「ありえねぇな。もしお前の言ってる高杉って奴が女の尻追いかけてんならそいつは同姓同名の別人だ。」
「なら愛人は?」
「いや銀さんが知ってんのはずっげえ昔の話だけだから。今もまだ過激派とつるむようなまねしてないから?わかるわけねぇじゃん。」
「野郎、女受け良さそうな顔してやすよね。」
「んとムカつくよな。彼奴ばっかり昔からちやほやされやがってよ。そのくせその本人は興味な下げに美女あしらい続けやがってくそ。」
何やら思い当るところがかなりあるらしく、ぐちぐちと文句を言い始めた。
眉目秀麗と言うにふさわしい容姿であることは明白であるが、高杉がもてはやされる理由はきっとほかにある。あの腹にどす黒い野心を据えた堂々たる振る舞いだとか、陰のある表情だとか。単に美しいものより、そういう少し謎めいたものに女って生き物は惹かれるのだから。
「旦那ァ僻みですかィ。」
「んなわけねーだろばっか野郎。銀さんこれでももってもてなんだよ!」
「そうですかィ、そりゃ失礼しやした。まあ取り敢えず俺は高杉が女にもてて旦那が無下に扱われた話を深く掘り下げて聞きてぇんで、続きお願いしやす。」
「ストレートに人の傷えぐんのやめてくんない?....つーか何なの、高杉の野郎ついに女関係でも指名手配されてんの?なんかやっちゃったの?」
そうじゃねぇですけど。
そう言おうとした矢先、注文していたみたらしがやっと俺の元に届いた。
満面の笑みを浮かべる女将さんは、あら仲がいいのねーとか言っているが勘弁してほしいもんである。
真選組が現段階でつかんでいるのは、例の娘は攘夷浪士の手の中にあるという事。その前は裏取引の現場で目撃されていた事。
そして―――その攘夷浪士の特徴が高杉一派の物と酷似していること。
詳細は未だ不明だが、土方さんは高杉があの娘を連れていると睨んでいる。
けれどおかしな点が一つ。
高杉にとってあの娘を得てもメリットが何もない事だった。
娘は大変美しいと噂で聞く。男が女を買う理由なんてそれだけで十分だとは思うが、どうやら高杉の人柄的にそれはなさそうだ。
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沖神 - そ…そうですかw…ごめんなさいw (2017年8月16日 1時) (レス) id: 3e81e6a0f7 (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - 沖神さん» ......む、無料....ですよ! (2017年8月12日 11時) (レス) id: d0946bab96 (このIDを非表示/違反報告)
沖神 - これって有料じゃないです…よ…ね?………… (2017年8月12日 2時) (レス) id: 3e81e6a0f7 (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - あかあしえいたくんさん» ご感想お寄せいただきすごくすごくうれしいです...。こちらこそ、ぜひ応援よろしくお願いいたします。コメントありがとうございました。 (2017年7月13日 0時) (レス) id: 5bb7c4f37e (このIDを非表示/違反報告)
あかあしえいたくん(プロフ) - 高杉すごいドキドキします!すごくすごくおもしろいです!これからもがんばってください!ぜひ、応援させてください! (2017年7月10日 14時) (レス) id: 04caca4bb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しののめ | 作者ホームページ:http://nanos.jp/aoikasou/
作成日時:2017年5月14日 20時