三十 ページ30
奪還に参加する一番隊に情報が公開されるや否や、その全員が眉をひそめる事になるだろう。
土方さんが口にしたのは”高杉晋助”。俺たちが避けては通れない、ヤツの名だったのだ。
一瞬にして戦場の空気を思い出す。
それはこの案件が壮絶な乱戦へと発展することを暗示しているようで、自然と身が引き締まるのが分かった。
「こりゃめんどくせーことになりそうでさァ。」
うざってえ奴から胸糞悪い情報を聞いた俺は、資料室を飛び出していた。
何やら仕事が残っていた気もするが、別に緊急を要する物でもないし、不都合といえば土方の怒鳴り声を浴びせられることになるくらいなものである。
奈良気にすることは無い。
「おーい女将さん、注文お願いしやす。」
昨日通りかかった茶屋の客席に腰掛け、この後の事はとりあえず甘い物でも食べてからにしようとおかみさんを呼ぶ。
奥から「はーいちょっとまってね!」と声が聞こえた。
赤い布が引かれた席は通りに面していて、通行人が良く見える。忙しなく動き続ける人の群れは相変わらずで、真昼間の街は見ていて飽きないものだ。
人間観察に意識を飛ばしていると、隣の客に肩を叩かれる。
振り向くと、死んだ目ともじゃもじゃの銀髪が怠そうにこちらを向いていた。
「よっ。奇遇だな。」
「あれら万事屋の旦那。真昼間っからこんなとこで何してんでィ。」
「そりゃお前人の事言えねぇだろ。仕事はどうした仕事は。サボってていいわけ?」
「サボる仕事すらねぇいい年こいた大人は黙ってて下せェ。」
「いや銀さん一応万事屋やってるから。あれ立派な仕事だから!」
んだよせっかく声かけてやったっつーのによ、とほざいている。
...正直、さっきから無性に落ち着かないのだ。
別に旦那と会ったからとか仕事が面倒だからとかではなく。..土方さんの口から高杉の名が出た人から、言い表しようのない違和感が渦巻いている。
「あっ」
「んだよ。」
目の前の適当な男。欠伸をする姿をみてあることに気がついた。
「...そういや旦那って、高杉の野郎のこと知ってやすよね。」
「急にほんと何。怖いんですけど。」
「いやさっきはうるせえから帰れとか思っちゃってすいやせん、ちょいと聞きたいことありやして。」
「えっなんなのそれ。頼む気微塵もないよね?教えて欲しいのそれとも教えて欲しくないのどっちなの?」
しっかりと突っ込みつつも、旦那はにっと笑って三本指をひらひらと見せてくる。
「みたらし3本。どーよ?」
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沖神 - そ…そうですかw…ごめんなさいw (2017年8月16日 1時) (レス) id: 3e81e6a0f7 (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - 沖神さん» ......む、無料....ですよ! (2017年8月12日 11時) (レス) id: d0946bab96 (このIDを非表示/違反報告)
沖神 - これって有料じゃないです…よ…ね?………… (2017年8月12日 2時) (レス) id: 3e81e6a0f7 (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - あかあしえいたくんさん» ご感想お寄せいただきすごくすごくうれしいです...。こちらこそ、ぜひ応援よろしくお願いいたします。コメントありがとうございました。 (2017年7月13日 0時) (レス) id: 5bb7c4f37e (このIDを非表示/違反報告)
あかあしえいたくん(プロフ) - 高杉すごいドキドキします!すごくすごくおもしろいです!これからもがんばってください!ぜひ、応援させてください! (2017年7月10日 14時) (レス) id: 04caca4bb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しののめ | 作者ホームページ:http://nanos.jp/aoikasou/
作成日時:2017年5月14日 20時