二十五 ページ25
「おい総悟!!いい加減起きろ!!!」
聞き飽きた怒鳴り声が俺の名を叫んでいる。
不快感に顔を歪めながら渋々アイマスクをおでこまでずり上げれば、目の前に青筋を浮かべた男の顔が飛び込んでくる。
この廃刀令のしかれた時代に立派な刃を腰にさし、黒い制服に身を包んだこいつはいう間でもなく真選組副長の彼である。
女をきゃあきゃあ言わせるその黒髪と瞳孔の開いた目、トレードマークのくわえ煙草も忘れない土方さんは、今日も今日とていけすかねえ顔をしてこちらを見下ろしていた。
「おいてめぇ....職務中に惰眠貪るたぁどういう了見だ??あ?腹切りてぇのかてめぇは。」
「一旦落ち着いて下せェ土方さん。この蒸し暑い日に昼寝なんて出来るわけねぇじゃねぇですかぃ。ただちょっと目を閉じてじっとしてただけでさぁ。」
「だからそれを世間一般では寝てるって言うんだろうが、屁理屈にすらなってねぇだろ。むしろあれか?屁理屈すら考えるのめんどくせえってか?」
「土方のくせに物わかりがいーじゃねぇか。」
「んだとてめぇこの場でたたっ斬るぞ。........ってんなこと言ってる場合じゃねぇだろ、さっさと行くぞ。」
「行くって、何処にでさぁ。」
さて、出かける予定など微塵も思い当たらない。
悪意無き質問だったはずだがスケジュールをまともに把握していない俺に苛立ったのか、顔をひきつらせながら鬼がこちらに振り向いた。
「総悟お前の顔の横についてるそれは飾りか???近藤さんから話があるから来いって言われただろ。」
「あーそういやそんな事もあったような。」
昨日の夕食を終えた直後当たりだっただろうか、あまり勤務時間内に仕事の話を持ち込むタイプではない近藤さんが、真剣な面持ちで俺たち二人に今日集まるようにと言ってきたのだ。
空気を察して土方さんは一層気難しそうな顔をしていた。
ただ、面倒事が転がり込んでくるような嫌な予感がしてならず、正直な所俺は行きたくない。
仕方なく重い腰を上げ廊下を進むも、前を歩く土方が鬱陶しくかった。
「おおっトシ、総悟。遅かったじゃないか。」
既に正座で待ち構えていた近藤さんの前に座れば、「いやー忘れられたかと思って心配してたところだ。」と能天気な導入を聞かされる。
「で、話ってなんだ近藤さん。俺たちを呼びだすからにはそう軽い話じゃないんだろ。」
強制的に本題をひっぱり出してくる土方さん。
俺と同じく、乗り気ではなさそうだった。
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沖神 - そ…そうですかw…ごめんなさいw (2017年8月16日 1時) (レス) id: 3e81e6a0f7 (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - 沖神さん» ......む、無料....ですよ! (2017年8月12日 11時) (レス) id: d0946bab96 (このIDを非表示/違反報告)
沖神 - これって有料じゃないです…よ…ね?………… (2017年8月12日 2時) (レス) id: 3e81e6a0f7 (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - あかあしえいたくんさん» ご感想お寄せいただきすごくすごくうれしいです...。こちらこそ、ぜひ応援よろしくお願いいたします。コメントありがとうございました。 (2017年7月13日 0時) (レス) id: 5bb7c4f37e (このIDを非表示/違反報告)
あかあしえいたくん(プロフ) - 高杉すごいドキドキします!すごくすごくおもしろいです!これからもがんばってください!ぜひ、応援させてください! (2017年7月10日 14時) (レス) id: 04caca4bb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しののめ | 作者ホームページ:http://nanos.jp/aoikasou/
作成日時:2017年5月14日 20時