十五 ページ15
「女性の部屋にノックもせずに入るとは、本来なら私のポリシーに反しますが。今日は致し方ないでしょう。」
「はあ。」
そうですか。としか返しようのない登場を飾るちょんまげの男性は、若干、いや、だいぶ異質な感じがした。
帯刀している所を見ると、彼もまた侍なのだろうか。
生気の無い目でこちらをまじまじと見つめてくる。なんだか気味が悪い、と警戒し始めた頃、「なかなか壮観ではありますが、私としてはあと十年程早くお会いしたかった。」とよく分からないことを口走った。
落ち着いた口調であり、物腰も柔らかであるけれど、やはり変わった人なんだなあと冷静に第一印象を分析する。
けれど一番重要なのは、私と高杉さんたった2人で息をしていた空間にいきなり入り込んできた"第3者"ということだ。
この人は何か知っているのだろうか。
「あの、どちら様でしょう。」
「ああ。申し遅れました.........と自己紹介でもしたいところですが、身は明かすなと言われていましてね。晋助殿率いる隊に所属している者、とだけ言っておきましょう。」
「高杉さんは、いらっしゃらないんでしょうか。」
「晋助殿はまあ....仕事のようなものですよ。少々用事で出かけてます。」
私になんて構っている暇がないくらいに忙しいのだろうか。
仕方ないといえばそうだけれど。
思えば私は、高杉さんのことばかりを追っていた。
「今日はその晋助殿について私から少しお話しておきたいことがありましてね。晋助殿の目を盗んでこうして訪ねてきたという訳です。」
「....高杉さんのことについて?」
「ええ。最近、様子がおかしい。どうにも具合が悪そうな風でしてね。」
そんな素振り、私の前では見せていなかった。私が見逃していただけだろうか。いや、この至近距離で顔色の変化に気づかないほど鈍感ではない。
ということは、この男のいうここ最近とは、高杉さんがこの部屋に来なくなってからの期間のことを指すのだろう。
「何か心当たり、ありませんかねえ。」
「............何も。」
「あったでしょう。晋助殿が部屋に来なくなる前に。」
この男は何処までわかっていて、何を考えているのだろう。
何もかも知っているのだとしたら、先ほどの尋問に意味はあったのか。
瞳の中に広がる虚無からは察することが出来ない。
「吸いましたね?」
何を?
そう問おうとして、口をつぐんだ。
何を、かは男に尋ねずとも感覚で分かっていたからだ。
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沖神 - そ…そうですかw…ごめんなさいw (2017年8月16日 1時) (レス) id: 3e81e6a0f7 (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - 沖神さん» ......む、無料....ですよ! (2017年8月12日 11時) (レス) id: d0946bab96 (このIDを非表示/違反報告)
沖神 - これって有料じゃないです…よ…ね?………… (2017年8月12日 2時) (レス) id: 3e81e6a0f7 (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - あかあしえいたくんさん» ご感想お寄せいただきすごくすごくうれしいです...。こちらこそ、ぜひ応援よろしくお願いいたします。コメントありがとうございました。 (2017年7月13日 0時) (レス) id: 5bb7c4f37e (このIDを非表示/違反報告)
あかあしえいたくん(プロフ) - 高杉すごいドキドキします!すごくすごくおもしろいです!これからもがんばってください!ぜひ、応援させてください! (2017年7月10日 14時) (レス) id: 04caca4bb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しののめ | 作者ホームページ:http://nanos.jp/aoikasou/
作成日時:2017年5月14日 20時