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十四 ページ14

気が狂ってしまいそうだ。

迫ったあの日以来、高杉さんは1度もこの部屋を訪れていない。

あの人が来ないから、どのくらい時が過ぎたのかもわからなかった。
何ヶ月もたった気もするし、数時間しかたっていなうような気もする。
体感時間などあてにはならない。

変わらずの光のささない室内では、日が昇ろうが沈もうが、私の生活には全く関係のない。
ただただろうそくが揺れているばかりだ。



何もすることなどなく、ただただ座って部屋の隅や天井を眺めるか、横になって疲れれば眠るの繰り返し。


退屈で退屈で、


それ以上に一人が、寂しくて仕方がなかった。


何度も高杉さんにもらった鈴を鳴らす。
けれどやっぱり姿を兆しは見えず、戸の一枚向こうからは足音一つ聞こえなかった。

何かの拍子にまたあの戸が開いて、光がさしたりはしないだろうか。
期待ばかりが募り、鈴の音を奏で続けても、その願いは叶わない。

もしかしたら高杉さんはもう、私のもとになど来てくれはしないのかもしれない。
嫌われらのだろうか、飽きられたのだろうか。


そんな不安が横切りさえした。




「ーーー・・・嘘つき。」




独りごちても、うるせぇ、と不機嫌な返事は帰ってこない。



けれど不思議なことに、体調だけはすこぶる好調である。
小瓶の薬も睡眠もとっていないというのに、気分がいい。


虚しくて鈴を鳴らす手を止めると、もう寝てしまおうと思った。
高杉さんが置いていった羽織を抱きしめる。


もうそこにあの人の体温は残されてはいなかった。



しばらく瞼の裏を見つめてじっとしていると、私が待ちわびていた来客を告げる物音がする。


けれど安心感とともにずっと放置されていたことへの不満が出てきて、少しふてくされてやろうと思った。

狸寝入りを決め込んでいると、....降ってきたのは初めて耳にする声だった。



「...おやおや、起こしてしまいましたか。」



おまけにバレているようである。

十五→←十三



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沖神 - そ…そうですかw…ごめんなさいw (2017年8月16日 1時) (レス) id: 3e81e6a0f7 (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - 沖神さん» ......む、無料....ですよ! (2017年8月12日 11時) (レス) id: d0946bab96 (このIDを非表示/違反報告)
沖神 - これって有料じゃないです…よ…ね?………… (2017年8月12日 2時) (レス) id: 3e81e6a0f7 (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - あかあしえいたくんさん» ご感想お寄せいただきすごくすごくうれしいです...。こちらこそ、ぜひ応援よろしくお願いいたします。コメントありがとうございました。 (2017年7月13日 0時) (レス) id: 5bb7c4f37e (このIDを非表示/違反報告)
あかあしえいたくん(プロフ) - 高杉すごいドキドキします!すごくすごくおもしろいです!これからもがんばってください!ぜひ、応援させてください! (2017年7月10日 14時) (レス) id: 04caca4bb1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しののめ | 作者ホームページ:http://nanos.jp/aoikasou/  
作成日時:2017年5月14日 20時

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