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二十三 ページ23

「私は高杉さんに、与えられてばかりですね。」

この活力も花も鈴もペンも、そしてここに在る理由も。
全部彼がくれたものだ。

「私ができること何かありませんか。高杉さんのために。」

「ねえな。」

「即答ですか。」

「ああ。」

「ほんとに一つもないんですか。」

食い下がる私にあからさまに面倒くさそうな顔を見せる。
押し付けがましいのは承知の上での発言だったけれど、そんな露骨な表情をされるとこちらも思う所があった。

「あの、なんかすみません。」

「.....いろ。」

「え?」

「ここにずっといろ。それだけだ。」


思ったよりも、その言葉は重みを含んでいた。

この部屋に私がいること自体への肯定のようにも思える高杉さんの要求は、すとんと静かに胸に収まる。

求められることが、こんなにも嬉しいことだなんて。



「高杉さんがそういうのなら、いつまでも。」

ここであなたの帰りを待ちましょう。

「ただ1人は嫌ですよ。会いに来てください、話し相手になってください。ーーーたまにはキスだってして下さい。そうじゃないと私はきっと、生きていけません。」



馬鹿げたことを口にする私を、高杉さんは笑わなかった。
ただ、強欲な女だ。と呟く。

お返しするだなんて言って結局ねだっているのは私の方だった。

けれど逆に言えば、それだけあればきっと生きていけるのだ。酸素も小瓶も自由もいらない。

今の私は、そんなことを考えてしまうほどこの部屋と高杉さんにとらわれれいた。

すっと伸びてきたその骨ばった手が顔に触れる。
触れるだけのキスを交わして、恋人でもなんでもない私達は、お互いの体温だけを欲した。

けれど絶対にそれ以上の行為を高杉さんは求めて来ない。

ただ慈しむだけの様な接触。

男女関係を持つことに密かな恐怖を抱いているように感じた。その理由をきっともう私は知っていて、思い出すしか手段はないのだと思う。

同時にそれは、今知らなくていい情報なのだとも思った。


「もう思い出さなくていいですよね。きっと...。」


同意を求めるように思いを口に出すけれど、目の前の彼は酷く悲しそうな顔をした。

協賛の声は上がらない。

「.....それでもお前は思い出さなきゃならねえ。何もかもすべて思い出して、憎んで、そうやって俺を睨みつける権利がお前にはある。.....俺が甘んじるために植え付けた依存に、軽々とハマってんじゃねぇよ。」

「矛盾してます。」

「端から筋の通ってる事なんて一つもありゃしねえだろ。」

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沖神 - そ…そうですかw…ごめんなさいw (2017年8月16日 1時) (レス) id: 3e81e6a0f7 (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - 沖神さん» ......む、無料....ですよ! (2017年8月12日 11時) (レス) id: d0946bab96 (このIDを非表示/違反報告)
沖神 - これって有料じゃないです…よ…ね?………… (2017年8月12日 2時) (レス) id: 3e81e6a0f7 (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - あかあしえいたくんさん» ご感想お寄せいただきすごくすごくうれしいです...。こちらこそ、ぜひ応援よろしくお願いいたします。コメントありがとうございました。 (2017年7月13日 0時) (レス) id: 5bb7c4f37e (このIDを非表示/違反報告)
あかあしえいたくん(プロフ) - 高杉すごいドキドキします!すごくすごくおもしろいです!これからもがんばってください!ぜひ、応援させてください! (2017年7月10日 14時) (レス) id: 04caca4bb1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しののめ | 作者ホームページ:http://nanos.jp/aoikasou/  
作成日時:2017年5月14日 20時

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