21.流血沙汰 ページ21
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本当に逃げてもいいのかな、なんて躊躇いがずっと頭の中にあった。
とりあえずテヒョンの足音がした方に向かって走っていたら、玄関が見えて飛び出した。大きな屋敷のような建物の荒れた庭を抜けて門を抜けると、遠くに数人の人影が見える。
｢ナムジュン先輩！ ジョングクくん！｣
その中に二人の姿を見かけた私は急いで近くに走っていった。
｢テヒョンは！？｣
｢中です、助けてください｣
そこにいた全員の顔が強ばるのを見て、私は駆け出そうとした。
だけど、ナムジュン先輩に腕を掴まれる。
｢Aはここで待ってた方がいい｣
｢いや、行きます｣
｢でも……｣
続けて私を止めようとするジョングクくんに、私は思わず抱きついた。びっくりしたようなジョングクくんだったけど、すぐに私の気持ちを読み取ったのか、迷いを見せつつも黙って頷いてくれる。
｢とりあえず早く行こう｣と言った別の男の人に急かされるように、私はテヒョンの元へと戻っていった。
――テヒョン、無事でいて
そう願わずにはいられなかった。私を助けるために危険な目に遭うなんて、罪悪感で胸がいっぱいになる。
やけに建物の中が静かなことも、嫌な予感が膨れていくようで焦燥感に唇を噛み締める。
そして、たどり着いた部屋に広がっていたのは凄惨な血の跡と倒れている男達。そして、その真ん中でぐったりとしているテヒョンの姿だった。
｢テヒョン！｣
駆け寄ると、項垂れていた顔がゆっくりと持ち上がる。
｢A……｣
｢怪我してる｣
｢でも、生きてるよ｣
低く掠れた声は生気がない。表情も乏しくて、いつものテヒョンとは変わり果てた姿だと思った。
私は物凄く動揺していたと思う。自分の身に起こった出来事も、目の前の血塗れのテヒョンも、全てが信じられなくて。
ナムジュン先輩たちが後ろで男たちを拘束する様子を傍目に眺めながら、テヒョンの腕に出来た傷におずおずと手を伸ばした。
そして、その自分の腕に出来ている傷を眺める。
｢飲んで｣
｢え？｣
｢いいから｣
テヒョンが元気になるなら、血なんかいくらでもあげようと思った。それで、テヒョンが元気になるなら、それでいい。
でも、テヒョンは｢ダメだよ｣と首を横に振ったので、私は傷口をテヒョンの口元に無理矢理押し付ける。
テヒョンと目が合って、ゆらゆらと揺れる目を見た。私が促すように小さく頷くと、血を飲み始めた。
｢ごめんね、A｣
｢なんで泣いてんの｣
｢俺のせいだから…｣
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sai(プロフ) - のんさん» はじめまして、コメント＆読了ありがとうございますー！ 番外編もちょいちょい書きますので、また読んでください´`* (2019年9月14日 23時) (
レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 初めまして。楽しく読ませていただきました。完結してしまって…しばらく吸血鬼ロスでした。番外編嬉しいです！楽しみにしています！ (2019年9月14日 19時) (レス) id: 94dc845851 (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - チョコさん» 完結までお付き合いいただいてありがとうございまーす！その後の進展(？)した二人も書きますね〜！読んでくださってありがとうございました！ (2019年9月10日 12時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - AULA−輝きさん» ストーリーがダラダラしそうで大分（他メンのエピソードとか）色々削ったので、ぼちぼち番外編てやりたいですね〜！ジミンちゃんの今的なやつもやってみようと思います^^ (2019年9月10日 12時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ(プロフ) - わぁ〜！完結しましたね！今回は推しということもあり楽しませていただきました！続編、見たいです！！基本的には作者さんにお任せですがやっぱりデートシーンみたいなのはほしいです笑笑 (2019年9月10日 1時) (レス) id: 58e918a46e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sai
| 作者ホームページ：https://twitter.com/xxx___sai/
作成日時：2019年8月29日 11時
