18.食べられそうです ページ18
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とにかく、ここから逃げたい。逃げないと私は本当に食べられてしまう。
憎しみや怒りからではない本能的な殺意が体中をピリピリと緊張させていた。人間として生きていた日々の中で、捕食者というものに会ったのはこれが初めてだった。
腕は縛られているけど足は動くから、いざとなったら走ることはできる。
必死に寝たフリをしている私の方に近づく足音に冷や汗が滲んだ。
｢おい、触るなよ。起きると面倒だ｣
｢しかしコイツ、美味そうな匂いだな｣
｢飼料がいいんだろ｣
｢肉を食わない人間の肉は美味いらしいからな｣
確かに私は昔から好き嫌いが多くて、とりわけ肉とか魚とかは全然食べなかった。
雑食の動物の肉は臭いと聞いたことがあるけど、まさかそれが人にも適用されるだなんて考えたこともない。
でも、この人外にとって私は生き物ではなく、単なる肉だ。
ぺとりと冷たい掌が私の足を触ってきて、思わずビクリと体が跳ねる。
やばいと思った時には、目の前の男と目が合った後だった。
｢悪い、起こしちまった｣
｢口になんか詰め込んどけ｣
視界が拓けた瞬間、大量の汗と荒くなる呼吸が止められない。
温度のない目でじろりと見つめられて背筋が凍る。
何か、と言われた男はそこら辺のボロボロのソファから汚い綿や布が引きちぎって、私の口に詰め込もうと近づいてきたので、私は思わずその手を噛んだ。
｢うわ、コイツ噛みやがった！｣とイラついた声と共に拳が飛んでくる。
｢うぐっ……｣
ギュッと目を瞑った時にはもう遅く、バキッと鈍い骨と肉を叩く音と、熱さにも似た鈍い痛みが顎の奥から広がった。口の中が熱くなって、錆のような味がじわりと広がる。
(コイツら、本当にヤバい！)
ガンガンと痛む頭とどんどん冴えていく思考とジリジリと焦る感情が目まぐるしく駆け巡って、咄嗟に体を起こした。
特に運動もしていなかったけれど、その時は脚の筋肉だけで立ち上がれるという確信があったからだ。
｢逃げなきゃ｣
物凄く怖い形相で私に手を伸ばす男の動きがスローモーに見えて、私は宛もなく近くのドアに手をかけた。
扉から出ると、そこには少し広い薄暗い空間とおそらく今は誰も使ってなどいないであろう錆だらけの螺旋階段が下へと続いていた。
｢なんか、しないと｣
追いかけてくる人外を足止めするなにかを探すけど、廊下でもあったその空間には階段以外何も見当たらない。
｢なにか……｣
でも、やはり目の前には階段しか映っていなかった。
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sai(プロフ) - のんさん» はじめまして、コメント＆読了ありがとうございますー！ 番外編もちょいちょい書きますので、また読んでください´`* (2019年9月14日 23時) (
レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 初めまして。楽しく読ませていただきました。完結してしまって…しばらく吸血鬼ロスでした。番外編嬉しいです！楽しみにしています！ (2019年9月14日 19時) (レス) id: 94dc845851 (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - チョコさん» 完結までお付き合いいただいてありがとうございまーす！その後の進展(？)した二人も書きますね〜！読んでくださってありがとうございました！ (2019年9月10日 12時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - AULA−輝きさん» ストーリーがダラダラしそうで大分（他メンのエピソードとか）色々削ったので、ぼちぼち番外編てやりたいですね〜！ジミンちゃんの今的なやつもやってみようと思います^^ (2019年9月10日 12時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ(プロフ) - わぁ〜！完結しましたね！今回は推しということもあり楽しませていただきました！続編、見たいです！！基本的には作者さんにお任せですがやっぱりデートシーンみたいなのはほしいです笑笑 (2019年9月10日 1時) (レス) id: 58e918a46e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sai
| 作者ホームページ：https://twitter.com/xxx___sai/
作成日時：2019年8月29日 11時
