32.数え歌 ページ32
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――一日目、泣いた。
｢な゛ん゛でごん゛事に゛な゛っだの゛｣
――二日目、落ち込んだ。
｢ってか、どうしよう……このまま生贄に？！｣
――三日目、怒った。
｢っていうか開けろ！ 開けてってば！｣
――四日目からは、退屈になった。
｢も〜ここ、本当に暇なんだけど｣
そろそろ一週間は経つだろうか。
三食と着替えとお風呂はなんとか世話をされている状態だった。
お風呂に行く時は思いっきり足に金属の鎖が嵌められていて、逃げるチャンスが見つからない。
……ユンギさんは帰ってきてない、と思う。
静かな家に響くのはピーンとした静寂と陰気臭い雰囲気。
太陽の向きで時間を知り、月の満ちていく様子を眺めて月日を知った。
テヒョン、心配してるかなあ。ユンギさんはいつ帰ってくるのかなあ。
こんなことを日がな一日考えて、ちょっと不安になりそうな時は横になって寝た。
夜、打ち付けられた板の隙間から見える月が、そろそろ満ちる。
一番目 姉やは嫁に行き
鳥の嘴 驚いて
山の頂 腕を切る
二番目 姉やは嫁に行き
鳥の翼に 驚いて
麓の川辺 足を削ぐ
三番目 姉やは嫁に行き
鳥の鳴き声 驚いて
家に帰って 括られる
――……奇妙な歌が聞こえた。
子供の合唱であるそれに驚いて目を開くと、夕暮れの赤い空が窓の隙間で光っていた。
まだ歌は聞こえていて、思わず外を見ると白衣装を着た子供たちが神輿のようなものの周りでぞろぞろと歩き回っている。
｢……お祭りだ｣
今日が真加部村のお祭りなんだ、と私はぼんやりする頭でその光景を眺めた。
｢……A、支度をしなさい｣
扉の向こうで大叔母がそう言って、私を風呂へと連れ出した。
いつもは一人にしてくれる筈なのに、お風呂場まで入ってきて、嫌がる私を無理矢理洗った。
それから謎の白衣装を渡され、化粧を施される。
……もしかして、これって、ソクジンとこに生贄になる準備なのかな
頭の中に過ぎった嫌な予感がぐるぐると巡る。
逃げようにも鎖は太いし、家の人間は話が通じそうにないし。
私は八方塞がりになった気分でされるがままになっていた。
下拵えを済まされて、変な衣装を着た私は今までの座敷牢とは違う大きな和室へと放り込まれる。
｢……エッ、布団？！｣
二組の布団がピターッとくっつけて敷いてある。その周りには天幕が施されていて、なんか物々しい雰囲気だった。
｢これから、お前の旦那様が来る。静かに言う通りにしてなさい｣
｢旦那様ァ？！｣
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sai(プロフ) - fanさん» コメントありがとうございます 文脈とかはあんまり考えてないんですけど、読みやすかったら何よりです^^* 楽しんでください〜 (2020年2月29日 13時) (
レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
fan(プロフ) - コメント失礼します。まだ数話しか読んでいないのですがとても文脈がしっかりしていて読みやすく楽しい作品だなと思いました。 (2020年2月27日 16時) (レス) id: b1b69e3863 (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - カナタさん» 番シリーズから！ありがとうございます！ 今回も全員総出演で不穏面白く書きたいと思いますー 完結まで楽しんでください〜 (2020年2月14日 21時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
カナタ(プロフ) - はじめましてです^^ 番シリーズから飛ばせていただきました！題名から田舎でのんびり系かと思いきやファンタジーな内容にハラハラしながら読ませていただきました！ま未だ出ていないメンバーもいまし今後も更新楽しみにお待ちしてます！ (2020年2月14日 2時) (レス) id: 684671b8cd (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - はじめましてさん» こちらこそありがとうございます〜 ほんと好きなように書いてるんで、好みに合って嬉しいです^^ これからも好きに書くので、気が向いたら読んでやってください！ (2020年2月11日 13時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sai
| 作者ホームページ：https://twitter.com/xxx___sai/
作成日時：2020年2月5日 13時
