30.怒りの矛先 ページ30
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｢――私、帰る｣
エッ？！ と異口同音で二人は目を見開いた。
テヒョンはともかく、ジミンさんは私を見捨てようとしてたのに。
｢で、でもA、家に帰ったら生贄にされるよ！｣
｢僕も、協力は出来ないけど、家に帰ったら……｣
二人は不安そうな顔で私を見上げたけど、私はもう既に立ち上がっていた。
私はもう考える事はやめようと思った。だって、考えたって私もテヒョンも何にも知らないし、ジミンさんは喋れない立場らしいし。
｢ユンギさんに会いに行く｣
｢ユンギさん？｣
｢なんか、ユンギさんは私を生贄にさせないって言ってたの｣
｢えええ｣
びっくりしたのはジミンさん。ぎょっとして大きくなった目はそろそろ飛び出してしまいそうだ。
｢お役目果たさなかったら、祟られるんだよ？｣
｢祟られればいいと思う。っていうか、祟られるって何って感じだし。私知らないし｣
｢Aが怒ってる……｣
｢怒るに決まってるじゃん！ 生贄とか祟りとか、わかんない事ばっかりだし！｣
突然変な村に連れてこられて、変な神様に生贄だのなんだの言われて、村の人間は冷たくて。
挙句の果てにお役目だかなんだか知らない役割を与えられて、最後には祟られる！？
何が起こってるのか、分からない事にイライラの頂点だった。
｢チャーハン、ご馳走さまでした！ 帰る！｣
｢えっ、ダメだよA！｣
引き止めてくれるテヒョンの声も無視して、私は玄関の方へと駆け足で向かった。
バタバタと着いてくる二人。私は鞄を漁って、借りてた漫画をテヒョンに渡す。
｢ハイ、これ｣
｢あ、えっ、つ、続きは？！｣
｢また今度ね｣
サッサと靴を履いて、テヒョンの家を飛び出す。もちろん、ちゃんとおじゃましました！と声を掛けながら。
そうして走り出そうとして――……振り返った。
｢うち、どっち？｣
｢腕切から指括ならあっちの山道の方が早いよ｣
そうジミンさんが山を指さす。
｢じゃあ、またね二人とも！｣
｢A、おれも行く！｣
｢いいから、テヒョンはうちに居て！｣
ドタバタと駆け出して、私は山の方へと駆けていった。
――私は、本当に頭にきていた。
勝手にこんな辺鄙な村に押し込んだ父親も、勝手に生贄にしようとしてる祖父たちも、冷たいクラスメイトも、変な神様も。
全部気に入らないし、みんな冷たくて寂しいし、生贄なんて言葉からして怖い。
｢なんで、こんな目にあわなきゃいけないの｣
ユンギさんに聞けば、全てが分かる気がした。
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sai(プロフ) - fanさん» コメントありがとうございます 文脈とかはあんまり考えてないんですけど、読みやすかったら何よりです^^* 楽しんでください〜 (2020年2月29日 13時) (
レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
fan(プロフ) - コメント失礼します。まだ数話しか読んでいないのですがとても文脈がしっかりしていて読みやすく楽しい作品だなと思いました。 (2020年2月27日 16時) (レス) id: b1b69e3863 (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - カナタさん» 番シリーズから！ありがとうございます！ 今回も全員総出演で不穏面白く書きたいと思いますー 完結まで楽しんでください〜 (2020年2月14日 21時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
カナタ(プロフ) - はじめましてです^^ 番シリーズから飛ばせていただきました！題名から田舎でのんびり系かと思いきやファンタジーな内容にハラハラしながら読ませていただきました！ま未だ出ていないメンバーもいまし今後も更新楽しみにお待ちしてます！ (2020年2月14日 2時) (レス) id: 684671b8cd (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - はじめましてさん» こちらこそありがとうございます〜 ほんと好きなように書いてるんで、好みに合って嬉しいです^^ これからも好きに書くので、気が向いたら読んでやってください！ (2020年2月11日 13時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sai
| 作者ホームページ：https://twitter.com/xxx___sai/
作成日時：2020年2月5日 13時
