03.どうもこうも田舎 ページ3
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連れてこられた私の新しい家は、控えめに言っても茅葺き屋根から少し発達した文明から来た簡素な木造の平屋だった。
広大な庭には畑のような場所とせめてもの慰めかのように松が一本生えてるだけ。
遠目に鶏小屋が見えて、いよいよ私は遠い目で虚空を眺めた。
｢……荷物、どこに置けばいい｣
｢あ、じゃあ、玄関に｣
私がそう言うとユンギさんはドカリと玄関の土間の縁にキャリーケースを投げ置いた。
それというのも、ここまでの間に舗装されてない道でキャリーケースを引いたらキャスター部分が壊れてしまったのだ。
溜息と共に荷物を持ってくれたユンギさんは思ったよりも力のないその腕でフラフラとそれを運んでくれた訳。
嫌々持ってくれたのは分かるけど、もっと丁寧に扱ってくれてもいいのに。
そんな私たちの騒ぎ(？)を聞きつけたのか、平屋の奥からこれまた神経質そうなおばさんが出てきた。
｢あなたがAさんね。お部屋は用意してありますから｣
｢はあ｣
｢……私はユラ。あなたの大叔母です｣
｢よろしくお願いします｣
それから私はこの家の一日の決まり事を聞いた。
夕飯は決まって夕方五時(早すぎ！)。お風呂は六時から順番に、客人のユンギさん、祖父、大叔母、そして私という流れで決まっているらしい。
序列が最後というのはなんだかムッとする気もするけど、最後ならば長風呂でも構わないだろう。
とりあえず用意されたという家具も何も無い部屋に入り、手回りの物を整えて部屋を出た。
夕飯の支度でも手伝おうと思ったけど｢貴女は座ってて｣という大叔母の一言に撃沈。
仕方なく暗がりの庭にでも出てみることにした。
――田舎の風景はとにかく空が広い。それは暗がりの夜空でも変わらなかった。
｢あ〜……疲れちゃったな｣
ボロ屋という表現が正しい田舎の家屋では、電気とガスが通っていただけでも花丸あげたい。
縁側のような場所を陣取り、どことなく都会に残してきた友達のことを思うと涙が込み上げそうになった。
街での生活は楽しかったのに、こんな田舎じゃあまりにも孤独だ。
グズグズと鼻を啜っていると、いつの間にか近くまでユンギさんが来ていて驚いた。
思わずサッと涙を拭うと、ユンギさんは私の後ろにある梁に凭れかかる。
｢……A、とか言ったな｣
｢ハイ｣
｢一応言っておくが、首塚の社には近づくなよ｣
｢……はい？｣
てっきり慰められるのかと思っていた私は、ユンギさんの言葉に大きな疑問符を浮かべた。
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sai(プロフ) - fanさん» コメントありがとうございます 文脈とかはあんまり考えてないんですけど、読みやすかったら何よりです^^* 楽しんでください〜 (2020年2月29日 13時) (
レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
fan(プロフ) - コメント失礼します。まだ数話しか読んでいないのですがとても文脈がしっかりしていて読みやすく楽しい作品だなと思いました。 (2020年2月27日 16時) (レス) id: b1b69e3863 (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - カナタさん» 番シリーズから！ありがとうございます！ 今回も全員総出演で不穏面白く書きたいと思いますー 完結まで楽しんでください〜 (2020年2月14日 21時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
カナタ(プロフ) - はじめましてです^^ 番シリーズから飛ばせていただきました！題名から田舎でのんびり系かと思いきやファンタジーな内容にハラハラしながら読ませていただきました！ま未だ出ていないメンバーもいまし今後も更新楽しみにお待ちしてます！ (2020年2月14日 2時) (レス) id: 684671b8cd (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - はじめましてさん» こちらこそありがとうございます〜 ほんと好きなように書いてるんで、好みに合って嬉しいです^^ これからも好きに書くので、気が向いたら読んでやってください！ (2020年2月11日 13時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sai
| 作者ホームページ：https://twitter.com/xxx___sai/
作成日時：2020年2月5日 13時
