16.首塚 ページ16
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――目を開くと、暗闇の中に居た。
埃っぽい匂いと木の香りが混ざった冷たい床から起き上がると、ここがさっきの不気味な体験をした社の中だという事を理解する。
｢なんだったんだろう｣
思わず唇に手を添えてみた。妙に生暖かくて柔らかい感覚が克明に思い出されて、私は身震いをする。
変な事を沢山言われた気がする。もしかして、夢かもしれないけれど、やけに体温や香りや感情がはっきりとした悪夢だと思った。
暫くそうしてぼんやりとしていると、社の外の遠くの方から｢A〜A〜｣と呼ぶ声が聞こえてくる。
テヒョンの声だ。
｢あっ！ 夕飯！｣
慌ててスマホを取り出すと、さっきまで圏外だった筈の社の中でも電波のアンテナが立っている。
そして通知が三十二件…………やばい。
｢テヒョーン！｣
｢A？！ どこ？！ 中？！｣
ドタバタと物音が聞こえて、扉が開く。外の月上がりが薄ら滲み出てきた。
ゼエハアと息も髪も荒らげているテヒョンが、私と目が合って酷く安心そうな表情をする。
｢よ、よかった〜｣
｢ご、ごめん。心配かけて……｣
随分荒ぶったテヒョンの姿に申し訳ない気持ちになりながらも、脳裏には先程まで見ていた気持ちの悪い夢の事が過ぎっていく。
｢……大丈夫？｣
｢え、あ、うん……なんか、寝てたみたい。でも、なんか変な夢で……｣
神とか。
短時間の間にグリグリと詰め込まれた変な妄想を、私はテヒョンに話さずには居られなかった。
すると、私の話を聞いたテヒョンの反応は意外なものだった。
｢神様？ いるよ｣
｢エッ｣
｢知らなかったの？｣
｢エッ……いや……いるわけないじゃん｣
｢居るよ｣
ケロッとした顔でそうはっきりと言いきられて、私は面食らう。
じゃあ、さっきの夢は？ ユンギさんが神様で、さっきの男も神様で……
困惑の表情を隠せないままテヒョンの顔を見つめていると、急にスマホの着信音が響いた。テヒョンのやつ。
｢あー見つかったよ。うん。うん。そー、クビヅカノヤシロ。中にいたよ｣
クビヅカノヤシロ。飛び出てきた単語に目を見開く。
ユンギさんが来るなって言ってた場所……此処が。
｢そうなの？ じゃあすぐ出るね。うん。ありがと〜｣と話を終えたテヒョンがスマホをポケットに仕舞った。
｢ここってクビヅカノヤシロ？｣
｢うん。ここは首塚地区の首塚神社。学校とか全部首塚にあるよ｣
｢そ、そうなんだ……｣
ユンギさんの言うこと、ちゃんと聞いてれば良かった。
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sai(プロフ) - fanさん» コメントありがとうございます 文脈とかはあんまり考えてないんですけど、読みやすかったら何よりです^^* 楽しんでください〜 (2020年2月29日 13時) (
レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
fan(プロフ) - コメント失礼します。まだ数話しか読んでいないのですがとても文脈がしっかりしていて読みやすく楽しい作品だなと思いました。 (2020年2月27日 16時) (レス) id: b1b69e3863 (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - カナタさん» 番シリーズから！ありがとうございます！ 今回も全員総出演で不穏面白く書きたいと思いますー 完結まで楽しんでください〜 (2020年2月14日 21時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
カナタ(プロフ) - はじめましてです^^ 番シリーズから飛ばせていただきました！題名から田舎でのんびり系かと思いきやファンタジーな内容にハラハラしながら読ませていただきました！ま未だ出ていないメンバーもいまし今後も更新楽しみにお待ちしてます！ (2020年2月14日 2時) (レス) id: 684671b8cd (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - はじめましてさん» こちらこそありがとうございます〜 ほんと好きなように書いてるんで、好みに合って嬉しいです^^ これからも好きに書くので、気が向いたら読んでやってください！ (2020年2月11日 13時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sai
| 作者ホームページ：https://twitter.com/xxx___sai/
作成日時：2020年2月5日 13時
