【アイナナ】シークレットラブ(仮)

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「何のことか知らないけれど、でもさ、本当にステージに立てば元気になれるんだよ。あれだけのパワーを観客席から受けて立ち止まってなんか居られない。同業者の君たちならきっとわかると思うけど、今夜見て行くんでしょ？単なる刺激を楽しんで」



「おぉ！」

「あはは、最高のエンターテイメントを楽しませてもらうよ」

「じゃぁ」

「がんんばれよ」

「ファイトでーす」

「あ、後ろのねぇーちゃん、王様プリン21個って忘れないようにって言っといてくれよ！証人だかんな！」



振り向いて顔を上げた九条さんの目が大きく開いたような気がした



「えっと、どういう経緯かは知りませんが、プリン21個ですね」

「そう！ちゃんと、王様プリンだかんな！」

「わかりました。王様プリン21個ですね」



三人に別れを告げ、楽屋へ急ぐ道中、会話が続く



「…馬鹿じゃないですか？過労で緊急入院って聞きました」

「知らない。Aさんの聞き間違いじゃないの」



顔色が明らかに悪いのに、聞き間違いで済ませるこの人は本当に馬鹿なんじゃないだろうか
“馬鹿は風邪引かない“の、本当の意味は、“馬鹿は風邪を引いたことに気がつかない“だったことを、思い出した



「ステージ上で倒れても知りませんよ。観客に歓声や歓喜じゃない悲痛の悲鳴を上げさせないでくださいね」

「僕を誰だと思ってるの。ファンを悲しませることなんてしない」

「そうですか。その言葉、信じますよTRIGGERのセンター九条天さん」

「そうだよ。信じて、観客席で君はただ楽しんでくれればいいよ。そして後で、楽しかったって言ってくれれば良い」

「あ、楽くんから聞きました。今回の席、用意くださったの九条さんだって。ありがとうございます」

「別に、この間のCM撮影のお礼も兼ねて。まぁ、少し強引だったと反省したから」

「…意外です。反省されてたんですか」

「僕を何だと思ってるのさ。さ、もう直ぐ開演の時間だよ。Aさんは、席に着いて」


そう言い残し、楽屋の扉を閉める
閉められた扉に一瞬思考停止したけれど、ため息一つして、ステージ裏に移動した二人と
未だ九条さんを必死に探しているだろう、姉鷺さんやスタッフに伝えるべく、言われた席ではない方へと向かう

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