好きって言わない_4 ［yuta_t］

Chapter150 朦朧とする中で ページ8

そのまま私の部屋の
ドアの前に立たされ









裕太「開けて」









A「本当に大丈夫なんだって！」









裕太「いいから早く開けろよ

人来ちゃうじゃん」









脅しとも言えるその言葉に
渋々鍵を開けると









押し込むように私を
部屋に入れると
そのまま中へと入っていった









仕方なく後から続くと









裕太「コート脱いで早く寝て」









A「でも・・・」









裕太「でもじゃない」









コートを脱ぎ
大人しくベッドに入ると









裕太「薬は？」









首を横に振った









聞こえるため息一つ









裕太「熱は？どのくらいあるの？」









A「わかんない」









裕太「体温計は？どこ？」









A「持ってない」









ギョッとした顔で私を見ると









裕太「嘘でしょ？薬もないの？」









A「だって私

風邪ひかないと思ってたんだもん」








それは本当だった
少しだけ喉に違和感とか
鼻がグスグスする事はあっても
薬なんて必要ないまま治って
熱で倒れた記憶なんて
いつかも思い出せないくらい









もう一度聞こえたため息一つ








裕太「ちょっと出てくる」









A「い」









裕太「いらないとか言うなよ？

・・・ちゃんと寝てて」









そう言うとテーブルの上の鍵を取り
部屋の電気を消して裕太は出ていった









・









・







悪いとか帰ってもらわなきゃって
思いつつ体力は確実に限界で
自分でも驚くほどすぐに記憶はなくなった








・









・









前髪にを触られた
感覚で目が覚め









薄っすらと目を開けると









裕太の顔と
得体のしれない物体









その物体から"ピピッ"と音が鳴って









裕太「３９度もあるじゃん」









A「それ体温計なの？」









裕太「ちょっと冷たいよ？」









前髪をあげられて
おでこに広がる
ひんやりした感覚









A「んー・・・」








裕太「とりあえずこれ飲んで」









差し出されたストローをくわえ
吸い込むと欲していた水分が
身体を伝わっていくのがわかった









裕太「キッチン借りるね」








そう言うと裕太は消え









また私の記憶も消えた

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