無口な彼女_9 [hiromitsu.k]

Chapter399 ページ18

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私の発した一言に
この空間は確実に
一時停止していたと思う









宏光くんの顔も体も手も離れて









宏光「・・・さよなら？

ん？さよならって言った？」









少し笑ってるようにも見える
宏光くんの顔

次に声を出せば
色んな物が溢れてしまいそうで

また自分の心臓を
手のひらでぎゅっと押しつけた









宏光「A？」


　
　
　
　
　

　
　







A「・・・本気で

もうやめようって思いました」







　
　
　
　

A「書けるか書けないかって

白黒はっきりさせなきゃダメだって

・・・そう考えると」









A「もう無理だって思ったし

こんなに苦しいなら

もう考えたくもない

って本当にそう思ったんです」







　
　
　
　
　









A「・・・でも」









　
　


　









宏光「・・・でも？」
　
　
　




　



　
　



A「でも、やっぱり私

・・・まだ書きたいって」



　
　
　
　






A「まだ・・・

諦めたくないって

ここで終わらせたくないって

どうしても手放せなくて・・・」


　
　
　

　
　
　

宏光「・・・。」









A「でも、今のままじゃ

どうしてもダメで・・・」









A「だから・・・

前の自分に戻るしかないのかなって

今の私には恋愛じゃなくて

前の自分に戻って

ちゃんと小説と向き合うしか

ないのかなって・・・」



　
　

　

　







　



宏光「だから・・・

俺と別れたいって事？」









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逃げるのは卑怯だと思ったから
宏光くんの目を
ちゃんと見て頷いた


　
　







宏光「・・・。」









A「もちろん

この選択をしたからといって

書けるようになるかはわかりません」









A「もしかしたら

もう一生書くことが出来ないかもしれない」









A「・・・でも

もしダメだったとしても

だから宏光くんになんて

保険みたいな事はしたくないし」









A「宏光くんには

宏光くんの守るべき場所があって

それが簡単な事じゃないって

こんな私にでもわかるから・・・

余計な負担もかけたくないんです」









A「そんな事ないって

言ってくれるかもしれないけど

・・・私が嫌なんです

ダメならダメで

１人でちゃんと受け止めたいんです

誰かに頼ったり

誰かのせいにしたりじゃなく」







　
　
　

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