無口な彼女_9 [hiromitsu.k]

chapter421 ページ40

アラタ「俺には・・・

Aちゃんはその人の事を

彼はAちゃんを

一番大切にした結果なんだろうなって

と思ったけどね・・・」









アラタ「だから・・・結果

誰も傷ついてないんじゃない？」









・









・









それから他愛もない会話をし

タクシーで帰る私と
電車に乗る先輩と駅前で別れて









タクシー乗り場に行くと
結構な人が並んでいて
小さくため息をついて駅へと戻った









金曜の夜
まだまだ人が減らない駅構内で
終電も近づいてるせいか
人の動きが慌しい中
改札の少し手前で止まった足








さっきから
頭の中でぐるぐると
繰り返される先輩の言葉









そして









私はなぜ宏光くんと別れたのか









別れたのになぜ書けないのか









別れても書けないのになぜ別れたのか









ほぼ同じ内容の自問自答を繰り返す脳内
もちろん答えも、いやそもそも
正解があるのかすらわからない難題を前に
前に進む事も後ろに戻る事も出来なくなった








・








・







ドンっと弾き飛ばされた体
両手を合わせて謝りながら
改札に駆け込んでくサラリーマンに
背を向けて再び騒がしい街へと戻った









何となくこんな気持ちのまま
帰りたくなくて気持ちを切り替える為に
やって来たのは映画館
内容じゃなく上映時間まで
あと10分を切った映画に決めて
ほぼ貸切状態の指定席に座った









今の私に必要なのは
余計な事を考えないように
何でもいいから頭の中に
知らない情報を入れること









座って間もなく暗くなった部屋
それからは目の前のスクリーンに
ただただ集中した








・









・









エンドロールが終わって
ふわっと明るくなった館内









全く期待してなかったのに
意外にもおもしろくて
よくわからないけど
ちょっと得した気分になって









そんな満足感を得て映画館を出て
タクシー乗り場までの道のりは
映画の内容を思い出しながら
軽い足取りで歩いて









乗り場につくとそこには
今度は空車のタクシーの列があった









先頭車両に近づき
開いた後部座席のドアから

車に乗り込み
マルの家の住所を伝える









・・・マルにもおすすめしよ








・・・やっぱり映画はいいな
これからも定期的に来よう









そんな事考えながら
ゆっくり流れる外の景色を見てると
信号待ちで止まったタクシー

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