オレンジ色の空に恋して

オレンジ色の空に恋して19 ページ19

【yuta side】




それからは思い立ったように
写真を撮った









アシカショーを見て喜ぶ顔

大きなサメに驚く顔

ホットドックを美味しそうに頬張る顔

幻想的な水中トンネルを見上げる顔

隠し撮りに気づいて怒る顔









最初は写真を撮る度に
「やめてよ」って怒ってたAも
少しずつ笑顔の写真だけが
増えていった









水族館を後にして
閑散期の海沿いの道を歩く









ニューヨークの街には
すでにキレイな夕焼け空が広がっていた









少し前を歩くAに









裕太「ね、ＩＤ教えて」









A「何の？」









裕太「LINEとかやってんでしょ？」









A「何で？」









裕太「何でって・・・

ほら、さっき撮った写真送るから」









A「あぁ、そっか(笑)」









休憩がてら
適当な場所に座って
写真を送ってあげると









A「何これ？

いつの間にこんなに撮ってたの？」









裕太「新鮮でしょ？

自分撮ってもらうのって」









A「別にいまさら

見たくないよ

自分の顔なんて」









　
　
　
　





A「でも・・・

この写真はいいね」









って









２人の写真を見ながら言った
Aの表情は
少し寂しそうだった







大きな空に
向かって背伸びしながら









A「でもまさか

うーたと一緒に

ニューヨークの海で

夕日見れるとはなー・・・」









裕太「だね」









A「明日は？

何時の便？」









裕太「１２時」









A「そっか

なんかあっという間だったね」









裕太「ん」









A「じゃー・・・

そろそろ行きますか」









そう言って立ち上がったA
スカートについた砂を払う
その後ろ姿に









裕太「なあ」







　
　
　
　





A「んー？」









　
　
　
　
　
裕太「帰って来なよ」




　
　
　







A「だから・・・

そのうちタイミングがあったらね」


　
　
　


　




　
　

　
裕太「そうじゃなくて」




　
　






Aが振り返って






　
　

　



今度はぶつかった視線に




　
　








裕太「俺のところに

帰ってこいよ」

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